芳醇な香りを放つ進化形アフロ・ブラジル音楽集『Xenia』から5年。この2作目ではしなやかで可憐な魅力はそのままに、未来志向と原点思考を両輪に新たな価値の創造を進める彼女のイノヴェーターとしての能力や資質がいっそう明らかにされる。重みと浮遊感が相まったジルベルト・ジルのカヴァー“Futurível”などは歌のスケール向上を如実に伝えるし、アルチュール・ヴェロカイ参加のメロウで艶やかな“Ânimus × Anima”に見え隠れするスピリチュアルな雰囲気も確かな深化の証。千変万化な打楽器アンサンブルの複雑で豊かな妙味もたまんない。聴くごとに未知の扉が開くディープなポップ・アルバムだ。
アフロ・ブラジリアン・ラージ・アンサンブルの傑作『O Corpo De Dentro』(2016年)で知られるロウレンソ・ヘベッチスがプロデュース。2022年配信のみでのリリースにもかかわらず、ミュージック・マガジンが選ぶベスト・アルバム企画のブラジル音楽部門で2位に選ばれるなど話題となった作品がフィジカル・リリース。ブラジル音楽の伝統に根ざしつつも、最新のジャズ/ネオ・ソウルを取り入れた洗練されたサウンドに確かな表現力を持つヴォーカルが魅力を放つ。巨匠アルトゥール・ヴェロカイがM8でゲスト参加し、ラグジュアリーなストリングス・アレンジを聴かせてくれる。