5年ぶりとなる3作目。サウンド面の最大のトピックとなるのはスティング“Shape Of My Heart”を引用した“Talkback”と思われるが、耳目を惹くだけのミスマッチな大ネタ使いに終わらず、あのメロディアスなギター・リフとブラック自身の抑制の効いた歌声が驚くほど自然に溶け込んだ逸品だ。この曲が象徴するように、かつての彼の陰気で淀んだムードは均整がとれて洗練へと向かい、サウンウェイヴ製の“Since I Have A Lover”においてはギターの響きが爽やかな印象さえ与えている。歌詞からも悲嘆や憂鬱のフックは減退したが、心地良く聴ける機能が増したのは間違いないだろう。