『ハレンチ』の次は『Naked』……どこにもない個性こそが越境する!

 ちゃんみなが4枚目となるフル・アルバム『Naked』を完成させた。前作『ハレンチ』は意識的にJ-Popのスタイルにフォーカスした感のある作品だったが、そのリリース後に彼女は韓国デビューを果たし、本格的に海外を見据えた活動姿勢を示しつつある。約1年半のインターヴァルを経て届けられた新作は、そんな彼女の足取りとヴィジョンをサウンドの面でも提示するように、現行のグローバルなポップ・ミュージックとの自然な共振を形にした一枚に仕上がった。

ちゃんみな 『Naked』 ワーナー(2023)

 本作には、韓国進出の第一歩となったラッパーのアッシュ・アイランドとのコラボ曲“Don’t go”と第2弾“Mirror”もそのまま収められている。アップリフティングなビートを乗りこなす韓国語の流麗なフロウが心地良い。後者の“Mirror”をはじめ、JIGGが担った“You Just Walked In My Life”や海外のプロディーサー陣が共作した“TOKYO 4AM”といった多くの楽曲で、欧米ポップ・シーンのトレンドでもあるポップ・パンクなどのギター・サウンドを取り込んでおり、そのエモーショナルで軽快なサウンドが、メランコリックなテーマも扱うアルバム全体に開放的な空気を吹き込んでいる。

 日本語を中心にしたナンバーも他の楽曲と地続きの手触りのR&Bで、とりわけ彼女の名を広く知らしめる契機となった“美人”に新たにAwichを迎えたリミックスは、変わらぬ眼差しとよりクールな風格を誇示しており力強い。日本語/韓国語/英語を自在に織り交ぜたちゃんみなのスタイルは、言語の境界線を飛び越えたユニヴァーサルなポップ・ミュージックの可能性を示すと共に、本作を世界のどこにもない個性を実らせた作品へと昇華させている。

左から、ちゃんみなの2021年作『ハレンチ』(ワーナー)、Awichの2022年作『Queendom』(ユニバーサル)