「夢は信じ続けること」
――デイヴィッド・フォスターとの特別なステージ
3月16日(木)ぴあアリーナMM(横浜)
オープニングの1音目から会場はASKAの世界観に包まれた。“SAY YES”。
イントロのインパクト、スケール、13名のストリングスによる音の厚み、透明感……。レジェンド、デイヴィッド・フォスターとの共演にふさわしいオープニングに感じられた。
「夢は信じ続けることで、いつの日か現実となる。今は素直に夢のステージに突き進みたい」
そんなASKAの願いがかなったのが〈TRAVEL & Lush Music presents ASKA featuring DAVID FOSTER〉。3月16日に横浜のぴあアリーナMM、17日にブルーノート東京、19日に兵庫県立芸術文化センターKOBELCO大ホールで3夜だけ開催された。
出会いは2018年冬。デイヴィッドのライヴのバックヤードを訪れたASKAがユニット、デイヴィッド・フォスター&フレンズに参加させてほしい、と逆オファーし、デイヴィッドのピアノで、その場で歌唱した。それから約4年半、2人は音楽家としての関係を熟成させてきた。
初日、約1万2000人収容できるぴあアリーナMMは4階席までぎっしり。
「僕が音楽シーンでデビューして7、8年目、立ち位置を築いたと感じていました。そんなときデイヴィッド・フォスターを知って自分が赤子に感じられました」
そうMCで打ち明けたASKA。“はじまりはいつも雨”“MY Mr. LONELY HERT”など、デイヴィッドとも共通する透明感のあるバラードを歌い上げていく。
「Great producer David Foster!」。ASKAのコールで下手からデイヴィッドが登場。2人はかたくハグ。ピアノに向かい、鍵盤に向き合うデイヴィッド。日本語と英語を織り交ぜて、デイヴィッドを称えるASKA。
「Yeah yeah teah, speak English」
英語で言ってくれ、とデイヴィッドはASKAにクレーム。そんなやり取りに、会場が笑いに包まれる。
2人がコラボレーションするコーナーでは、シカゴのメドレーなどデイヴィッドの作品を披露。“You Raise Me Up”の映像ではケニーGがソプラノサックスを演奏した。
「Japanese people love music. Everyone sings with me」。デイヴィッドが会場にうながし、“Hard To Say I’m Sorry”の合唱で盛り上がった。そこにシンガー、宮﨑薫が華やかに登場し、ステージに美しく花を添える。デイヴィッドと“To Love You more”を共演した。
ステージも客席も赤の照明で演出された“RED HILL”からエンディングに向かって、再びASKAが自分の曲を歌っていく。“YAH YAH YAH”“Be Free”で、客席は総立ちに。
「時代はまわるというけれど、あの’90年代をもう一度と願っていると二度と来ないと思います。それでも、エンタテインメント性を持った音楽を僕は信じています」
日本で自分が、海の向こうでデイヴィッドがヒットを連発していた時代をしのび、それでも未来を見つめるASKA。
再びデイヴィッドをステージに招くASKA。“YAH YAH YAH”を口ずさみ、「Great song!」と称えるデイヴィッド。二人は再びかたくハグし合う。
“僕のwonderful world”を共演して、特別な夜は幕を下ろした。