東日本大震災から今年で12年を迎えるも、未だ放射能汚染の残る、完全に復興が出来ていない、福島県の飯舘村をモデルにした、宝沢村という〈被災地〉で、暮らし続けようとする人々の営みの物語。柔らかな優しいタッチの画風と、人々に了察したストーリーに加え、東北在住でもある作者自らの丁寧な取材を通じ、厳しい現実もリアルに描きます。タイトルの元にもなった“上を向いて歩こう”を歌う事。故郷に戻れないまま仮設住宅で永逝した祖母の口癖「だいじょうぶ」を繰り返し呟いていた事。現実の重さに耐えながらも、自ら鼓舞し、前向きであり続けようする、市井の人々の懸命な姿に心を打たれます。