新生したBiS、新グループのKiSS KiSS
――その今年のオーディション合宿は、BiSの増員がほぼ前提だったと思うんですけど、振り返ってみていかがでしたか。
「今年はおもしろかったっすね。シオンエピックが凄かったんで、もうホントに(笑)。久しぶりに見ました、あの話が通じない感じ」
――BiSに加入した3人はどういうところで?
「やっぱりWACKが大きくなるにつれて、みんな良い子ちゃんになってきたんですよね。僕もそういう子を選んでたし、別にそれは悪いことじゃないんですけど。でも、〈あれ? WACKって何だったっけ?〉って今年の合宿中に死ぬほど考えていたらアンコントローラブルな奴しかいなかった昔のBiSを思い出して、〈あっ、これがおもしろくてやってたんだよな〉って浮かんだ瞬間に腹落ちしたんですよね。イコとクレナイに関しては従来通りがんばった子を選んだんですけど、ネオとイトーがいなくなった後にこの2人を入れるだけなのも違うな~みたいなのがどうしてもあって、そこにハマる感じがしたのがシオンでした。パズルのピースがピッタリ……合わないんですけど(笑)」
――合わない(笑)。
「昔のノンちゃん(旧BiSメンバーのヒラノノゾミ)みを感じるというか、ももらんど(2期BiSメンバー)とか、そういう部分を忘れてたなっていうのがあって。他のメンバーは真面目ちゃんなんで苦労してると思いますけど、それによって固まる部分があると思うし、長年のWACKファンからすると非常に魅力的に映るグループになったんじゃないかな。BiS自体はとりあえずクソ濃いファンを増やすことを目標にしていて(笑)、いつか打って出る時に、その濃い研究員たちを熱狂させられるようにがんばりたいな~みたいなところですね」
――この6人になったことで、逆に一昨年までのBiSとは比べなくていい感じになりましたね。
「いや、ホントに別物ですよね(笑)。そのなかでナノ3がリーダーシップを発揮してきてる感じもあるし、ヒューガーも何かしらの脱皮があるといいなって勝手に期待してるとこではあって。楽しみな6人ではありますね」
――そのBiSの新曲はTHE SPELLBOUND(中野雅之&小林祐介)作になりました。
「これは決め打ちでダンス・ロックみたいなものをお願いしました。BiSでは僕たちが憧れてきた人たちとやってみたくて、真っ先に挙がったのがBOOM BOOM SATELLITESだったんですよ。この後の曲作りも進んでいるんですけど、BiSは作家さんの曲をコンペで選ぶっていうよりは、僕が好きないろんなロック・バンドの人たちに書いてもらっていく予定です」
――一方で、KiSS KiSSのファースト・アルバムもこのタイミングで届きました。
「ギャンパレで関わったことのないメンバーたちと何かできたらいいな~みたいな部分で立ち上げたグループですね。月ノウサギぐらいまでは当時からいろんなことを喋れてたんですけど、やっぱりナルハワールド以降に入った子たちってほとんど会話したことない子もいたので。そこらへんの意図はASPを立ち上げた時とも似てるっちゃ似てるかな」
――コンセプトは?
「いろんなアイドルを観てるなかで、超ときめき♡宣伝部とかFRUITS ZIPPERがTikTokでバズって勢いがあると言われているなかで、まあ、うちのメンバーが可愛いか可愛くないかは別として(笑)、せっかくやるならギャンパレのファンじゃない子たちも獲りにいきたいんで、一回そっちのトレンドに振り切ってみてもいいのかなって。まあ、僕が関わったから、結局そんなにキラキラできなかった感じではあるんですけど(笑)、アイナ・ジ・エンド初の提供曲とかもあったりして良いアルバムになったと思います。“SEEK”と“iDEAL”では僕も初めてヴォーカル・ディレクションをやってみたりして。ちなみに、僕のオススメは“KiSS KiSS KiSS”ですね」
――だと思いました(笑)。
「すげえオーセンティックなテクノに三三七拍子が入ってる。もう完全に電気グルーヴなんすけど(笑)」
――“富士山”とかですよね(笑)。この曲などを手掛けたYohji Igarashiさんや、元Shiggy Jr.の原田茂幸さんは最近のWACK作品で常連になりつつありますね。
「そうですね。Igarashiはつばさレコーズにいたので、それこそDiS(旧BiSの覆面ラップ・ユニット)とかも関わってたんすよ。その頃はまだ学生に毛が生えたみたいな印象でプロダクションも甘かったんで、〈まあ、何か使える時あったら使うね~〉みたいな感じで、たまに飲むぐらいだったんすけど、JUBEE君の“Mess”を聴いて〈めちゃくちゃカッコ良くなってるじゃん! やろう、やろう〉ってなりましたね(笑)。茂さんは人の紹介で飯食いに行って、送ってきてくれた楽曲がプロダクションも丁寧でめちゃくちゃ良かったんで、まずBOYSGROUPからお願いしてみた感じでした」
――KiSS KiSSとの相性もいいですよね。
「いや、めちゃくちゃ良いっすね。彼とは一緒にヒット作りたいよね!って意気投合して、自身で作詞してきてくれたり、かなり前のめりにやっていただきました。あとはデモ募集で送ってきてくれたTogo君もサウンドがすっごく良くって、ASPでも1曲トラックメイクをやってもらったりしてて。KiSS KiSSは実験ではあるんすけど、ホントにいままでにないファンを獲れたらいいなって思ってますね」
――渡辺さんはヴォーカル・ディレクションとか、そういう関わり方も増やしていく?
「ヴォーカル・ディレクションは自分の集中力のなさに気付いたんで難しいなと思いました(笑)。そのぶん、いままで任せっきりになっていたサウンド・プロダクションの部分に関しては自分としても意見を持って取り組んでいきたいですね」