タイトルにドキッとさせられる。高校教師・高梨が生徒への進路指導で〈夢を見るな〉と否定するだけの作品かもと考えていたが間違っていることにすぐ気づいた。生徒が抱く声優や鉄道運転士などの〈夢〉に対し〈現実的なデータ〉〈実情〉を突きつけ否定して覚悟を問う、という意味では〈夢なし先生〉と言われるのも仕方がない。〈夢見ることの残酷さ〉〈諦めることの大切さ〉を説いているのだが、高梨は上っ面でなく〈夢〉を諦めきれない生徒に対し卒業後であっても生徒が志した仕事の世界を緻密に調べあげた上、救うために手を差し伸べるのであった。阿久悠の名著「人生は第二志望で成功する」を読み返したくなった。