Page 2 / 3
1ページ目から読む
2016年~2020年 : 本格的なプロデューサーとしての活躍とソロ活動
2010年代中頃まではダンスミュージックの文脈で語られることの多かったA.G.クックだが、メインストリームに接近する大きなきっかけとなった作品が、2016年のチャーリーXCX『Vroom Vroom EP』だ。その後、チャーリーの2つのミックステープ『Number 1 Angel』『Pop 2』(ともに2017年)ではプロデューサーとしてA.G.クックが全面的に関わり、高い評価を獲得した。これらの作品を通じて、自身のユニークな作風が正面から〈ポップミュージック〉として通用することを証明したのだった。



2010年代は裏方としての活動を中心としていたA.G.クックだが、2020年には自身初となるソロ名義のアルバムを2作リリースしている。7枚組、全49曲に及ぶ『7G』と、全10曲の『Apple』だ。
『7G』はディスクごとにDrums、Guitar、Supersaw、Piano、Nord、Spoken Word、Extreme Vocalsという異なる楽器がテーマとして割り当てられ、その中にはブラー“Beetlebum”やテイラー・スウィフト“The Best Day”のカバーも含まれており、まるでA.G.クックのラップトップの中身を覗き込むような内容となっている。

一方の『Apple』は、『7G』で散りばめたアイディアの数々を1つのアルバムへと抽出したかのような作品で、この2枚のアルバムを通して、A.G.クックの音楽性をマクロとミクロで捉えることができる。
