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2016年~2020年 : 本格的なプロデューサーとしての活躍とソロ活動

2010年代中頃まではダンスミュージックの文脈で語られることの多かったA.G.クックだが、メインストリームに接近する大きなきっかけとなった作品が、2016年のチャーリーXCX『Vroom Vroom EP』だ。その後、チャーリーの2つのミックステープ『Number 1 Angel』『Pop 2』(ともに2017年)ではプロデューサーとしてA.G.クックが全面的に関わり、高い評価を獲得した。これらの作品を通じて、自身のユニークな作風が正面から〈ポップミュージック〉として通用することを証明したのだった。

CHARLI XCX 『Vroom Vroom EP』 Asylum/Vroom Vroom(2016)

CHARLI XCX 『Number 1 Angel』 Asylum/Atlantic UK(2017)

CHARLI XCX 『Pop 2』 Asylum/Atlantic UK(2017)

2010年代は裏方としての活動を中心としていたA.G.クックだが、2020年には自身初となるソロ名義のアルバムを2作リリースしている。7枚組、全49曲に及ぶ『7G』と、全10曲の『Apple』だ。

『7G』はディスクごとにDrums、Guitar、Supersaw、Piano、Nord、Spoken Word、Extreme Vocalsという異なる楽器がテーマとして割り当てられ、その中にはブラー“Beetlebum”やテイラー・スウィフト“The Best Day”のカバーも含まれており、まるでA.G.クックのラップトップの中身を覗き込むような内容となっている。

A. G. COOK 『7G』 PC Music(2020)

一方の『Apple』は、『7G』で散りばめたアイディアの数々を1つのアルバムへと抽出したかのような作品で、この2枚のアルバムを通して、A.G.クックの音楽性をマクロとミクロで捉えることができる。

A. G. COOK 『Apple』 PC Music(2020)