フローティング・ポインツやAGクックの参加といったグローバルなトピックの反面、総じて穏やかでトラックに自然と溶け込むような歌声が紡ぐのは、まるで日記のように極私的で限られた範囲の世界の話。だが、その内省的なピースのひとつひとが誰しもの感情に接続することを、約12分のディープ・ハウス“Somewhere Near Marseilles ーマルセイユ辺りー”が教えてくれる。宇多田流のベッドルーム・ポップと言うべきアルバム。