2021年9月23日、タワーレコード新宿店のリニューアルに伴って、アナログレコード専門店の〈TOWER VINYL〉は渋谷店へ移転、〈TOWER VINYL SHIBUYA〉が新たにオープンしました。そんなTOWER VINYLによる連載が、この〈TOWER VINYL太鼓盤!〉です。今回のテーマは毎年恒例、スタッフが選ぶ今年のマイベストレコード。TOWER VINYL SHIBUYAや新宿店のスタッフが、2021年の愛聴盤、買ってよかったレコードを選びました。 *Mikiki編集部
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髙橋直樹(TOWER VINYL中古レコード買取担当)
嬉しいことにTOWER VINYL SHIBUYAオープンをきっかけに、これまで以上に新品レコードに向き合う機会が増えました。そこで中国のアーティストをリリースするレーベルPANDA RECORDの作品がまとめてリリースされましたので、いくつか購入させていただきました。激情型フォークロックともいえる李志(リージー/Lizhi)『「倒影」(Reflection)“Best Selection Songs [Vol. 3]”』、ソニック・ユースとヨーロッパツアーをまわった新たな注目株Carsick Cars『3』、そして優雅なジャケットにそそられたハイパーソン(海朋森/Hiperson)『成長小説』の3点です。どれも内容が素晴らしく悩みに悩んで今回はハイパーソン(海朋森/Hiperson)『成長小説』をマイベストレコードに選びました。
ハイパーソンは四川省の成都出身、男女5人が織りなす新感覚のポップグループで、ボーカルのチェン・シージャンが淡々と歌い上げる独特な世界観とシンプルに音数を削ぎ落したサウンドによる妙なアンサンブルは最高にかっこよく、アヴァンポップが好きな人も思わずニンマリしてしまうかも……。個人的に中国の音楽にどハマり中でThe SuperVC(果味VC)も近々、購入したいところ。
今、中国の音楽シーンが最高にゲキアツです!
TANAKAHMANN(タワーレコード新宿店洋楽フロア)
PSYCHO~デス!!!!!!! 記念すべきクモ年だった2021年、俺の一枚は断トツでコレ! サーフにロカビリー、ガールズポップからモータウンビート、ドゥーワップなどなどオールディーズなアメリカンポップスを雑多にぶちこんでゴキゲンなガレージロックで演奏する彼ら、その名もシャノン&ザ・クラムスの6枚目。まるでタランティーノな世界観がシビレる圧倒的名盤でありまして、イマが旬な〈ダン・オーバックがプロデュース〉という売り文句もむしろ邪魔なほど。ディヴァインを彷ふつさせる紅一点のシャノン・ショー嬢の、その見た目に違わず可愛らしくもドスの効いた歌声はまるで発情期のシャム猫のごときなり。ほとんどの曲がドーナツ盤時代の3分間ポップスのお手本のような楽曲構成ながら、バンドならではのアレンジも凝っているし、何よりソングライティングが素晴らしい! 気になった貴方、まだインディショップ流通オンリーのワインヴァイナル限定盤……探せばありますぜ!
中上雅夫(タワーレコード新宿店10F)
ご存じのように中国、北京のパンクシーンは90年代から隆盛してきたわけですが、70s~80s前半のパンク、パワーポップにフォーカスしたバンドとしては初期のNew PantsとともにこのThe Sino Heartsがダントツのセンスを持っているといえます。中心人物のZhongがオーストリアでディークラックス(DeeCRACKS)周辺のメンバーとの活動歴があるということもありますが、それにしても稀有なセンスで、日本をはじめ各国のバンドに関してもかなり造詣が深いのが伺えます。
このアルバムは2018年のファーストから3年ぶりとなるセカンドにあたり、ドイツのガレージ系レーベル〈Topsy-Turvy〉からリリースされました。あのサミュエル・ホイが60年代にやっていたバンド、The Lotusの大名曲”I’ll Be Waiting”をカバーしているのもグッド!