trf “EZ DO DANCE”
DJ KOO、SAM、YU-KIらからなるダンス&ボーカルグループ、現TRFのセカンドシングルで、ブレイクのきっかけになった曲。作詞、作編曲、プロデュースは小室哲哉。ど派手でアッパー、速いBPMのユーロビートだが、キャッチーなフレーズと印象に残るポップなメロディで、J-POPとしての高い強度を持っている。洋楽からの影響を邦楽に落とし込む、という点でも重要な曲。
THE 虎舞竜 “ロード”
高橋ジョージ率いるバンドの代表曲。改名前のTROUBLE時代、高橋が妊娠中のファンの少女からのファンレターで相談を受けたものの、その少女が交通事故で亡くなったことを知り、そのことがきっかけになって書かれた。 改名を経た最初のシングルだったが、徐々に売上を伸ばして220万枚を超えるヒットに。ハーモニカとピアノ、ストリングスを中心にしたアレンジで、上記の実話に即した悲痛な愛の物語が歌われていく。シリーズ化されており、それらがひとつの曲をなしていることは有名で、“㐧15章”が2021年に発表された。96年に映画化もされている。
BUCK-TICK “ドレス”
7作目『darker than darkness -style 93-』(名盤!)からの先行シングル。作曲は星野英彦で、彼がピアノやシンセサイザーも担当。ブレイクビートなどを用いたエレクトロニックな志向が際立つ。大きな盛り上がりを迎えずに延々とループするような構成、ユーフォリックで耽美的、退廃的でアンドロジナスな世界の構築は、同時代のJ-POPやロックと比較してもあきらかに異端だ。彼らの唯一無二の個性が凝縮されている。今年、櫻井敦司が急逝し、BUCK-TICKの曲の響きも持つ意味も変わってしまったと感じる。
B’z “愛のままにわがままに 僕は君だけを傷つけない”
B’z最大のヒットシングル(オリジナルアルバムには未収録)。ドラマティックなストリングスのイントロと中間部、ロックというよりもファンクっぽいグルーヴのリズム&ビート、ハウス風のピアノが印象的で、実はかなり折衷的なJ-POPナンバーだ。キレのいいホーンに彩られたサビの強烈なフレーズ、伸びやかなメロディが、一度聴いたら忘れられないインパクトを放っている。同年には“裸足の女神”もリリース。まさに絶頂期で、ビーイングの全盛期も築き上げた。
PIZZICATO FIVE “東京は夜の七時”
子供番組「ウゴウゴルーガ2号」のオープニング曲で、のちに数多くのカバーを生んだ、渋谷系を象徴する名曲。矢野顕子やローリング・ストーンズの引用などに表れたピチカート/小西康陽らしい編集感覚、ストレートな恋愛感情を歌いながらも東京という街の虚構性や虚無を突く歌詞、アップテンポなダンスミュージック志向と、どれを取っても素晴らしい。アルバム『OVERDOSE』(94年)には10分超のハウスバージョンで収録された。
フィッシュマンズ “いかれたBaby”
3作目『Neo Yankees’ Holiday』の先行シングルで、多数のアーティストにカバーされている代表曲。揺蕩うような浮遊感に満ちたシンセ、くぐもった音像、佐藤伸治の愛情論と人生観が滲む歌詞が、聴き手に語りかけるような親密さを築き上げている。当時はアレステッド・ディヴェロップメントなどのヒップホップに影響を受けていたそうで、ポップなレゲエやロックステディ路線から徐々に逸脱し、オーガニックなヒップホップ感覚も吹き込まれた。『ORANGE』(94年)や『空中キャンプ』(96年)といった名作の萌芽がここに。