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『らんど』に繋がるハードコア~アヴァンギャルドな六つの音塊

BLACK MIDI 『Cavalcade』 Rough Trade/BEAT(2021)

プログレッシヴな演奏で独自の地位を築き上げたUKバンドの2作目は、冒頭曲の“John L”におけるストップ&ゴーなアンサンブルにZAZEN BOYSを感じたリスナーも多いとか。イマジナティヴに単語を並べながら、刹那な感情を炙り出す歌詞も近いかも。

 

the hatch 『shape of raw to come』 十三月(2022)

GEZAN主宰のレーベルからリリースを続けるポスト・ハードコアの注目株による2作目。マス・ロックを思わせるキメの多い演奏とラテンやアフロのしなやかなノリという相反した要素を組み合わせる様がフレッシュだ。よく見るとジャケが異常に怖い。

 

ANGEL DU$T 『Brand New Soul』 Pop Wig(2023)

ターンスタイルのメンバーが在籍していたことでも知られるボルチモアの5人組による5作目。激烈なハードコア・パンクを基調にフォークやファンクを切り貼りするストレンジな質感がおもしろい。ギター・ポップ調の曲はNUMBER GIRLっぽかったりも。

 

PERSHER 『Man With The Magic Soap』 Thrill Jockey(2022)

カレンでも共作してきたエレクトロニック畑のトラックメイカー、ブラワンとパリアがインダストリアル・パンク~ドゥーム・メタルへの愛情を思う存分にぶつける新ユニットを結成。デス・ヴォイスと過剰なノイズにまみれた電子音を鳴らしており、極めて狂暴です。

 

YVES TUMOR 『Heaven To A Tortured Mind』 Warp/BEAT(2020)

ZAZEN BOYSの持つプリンス的なファンクネスは、このカルトな音楽家にも共有されている。毒々しいまでにファズの効いたギターとねっとりとしたリズム・セクションを背景に、妖しく身悶える――以降も続くグラムなロックスター化は本作で始まった。

 

CRYAMY 『世界/WORLD』 nine point eight(2023)

6月に日比谷野音でのワンマンを控えるなど存在感を高めている4人組の新作は、スティーヴ・アルビニを迎えてのシカゴ録音。喉が潰れそうな絶唱とメタリックなリフに苛立ちや絶望が映し出され、ヒリヒリとした空気が全編を覆い尽くす。この緊張感は格別だ。