デトロイトの偉大なミュージシャン、アンプ・フィドラーことジョセフ・アンソニー・フィドラーが2023年12月17日に亡くなりました。Jディラやムーディーマンら地元の後進をサポートした名裏方/キーパーソンとして名高い彼ですが、ここでは追悼の意を込めて、遅咲きのソロ・デビューを飾った2004年の初インタヴューを再掲載させていただきます。


 

アンプ・フィドラーが世界待望の大作『Waltz Of A Ghetto Fly』を完成させた。コズミック・ソウルの過去も現在も未来も、すべてここにあるのだ!!

 数多くの才能が瞬いて、ひとつの大きな夜景を形作っているようなデトロイトの音楽宇宙。そこから生まれくるいくつもの〈コズミック・ソウル〉たちはここ数年勢いを増しているが、この鬼才アンプ・フィドラーこそ、まさに〈コズミック!〉な大傑作『Waltz Of A Ghetto Fly』を作り上げたばかりの御仁。あんた、コズミックだよ!

 「その表現、気に入ったね(笑)。〈コズミック〉ということは〈スペース〉があるっていう意味だしね。いろんな音楽に影響されてきたから、俺の音楽的対話は一般的なものと違うと思う。自分が〈コズミック〉なら素晴らしいよ」。

 彼はデトロイト新時代の旗手とも囁かれるシーンのキーマンである。が、彼が80年代から活躍するヴェテランのミュージシャンだってことを忘れてはいけない。何せ、「アルバムに参加してるドリアンは12歳になる息子さ(笑)。学校で音楽とトランペットの勉強をしてるんだ」という父親ぶりまで見せてくれているのだ。まずは、そのキャリアから振り返ってもらうとしよう。