DETROITERS
アンプ・フィドラー新作やファンカデリックのリワークなど漆黒の注目盤が次々に登場!
昨年はヤム・フー?のレーベルから約10年ぶりのソロ作『Motor City Booty』を出したアンプ・フィドラー。アンプといえばデトロイトの地でPファンクとヒップホップ、テクノ/ハウスを結ぶ裏ボス的な存在感を発揮してきた大ヴェテランですが、このたび登場したニュー・アルバム『Amp Dog Knights』は縁深きムーディーマンの主宰するマホガニー・ミュージック発で、30年以上に及ぶクロスオーヴァーなキャリアの厚みをタイトに表現した佳作となっています。
弟子ともいえる故J・ディラとの何度目かの疑似コラボ“Return Of The Ghetto Fly”と“Through Your Soul”をはじめ(後者には実兄のバブズ・フィドラーも参加)、先行カットされていたサイケデリック・シャックな“It's Alright”とそのワジードによるリミックス、アンドレスことDJデズとのビートダウン“No Politics”……と収録曲は多彩にして一貫性も感じられるもの。ムーディーマンの采配もあってか、主役のソウルフルな歌唱と引き出しの多さがうまくパッケージされていると言えましょう。
ちなみにアンプ絡みではもう一枚、エルザイとの『Elmatic』でも知られる同郷のファンク・バンド、ウィル・セッションズの新作『Kindred Live』にも注目したいところです。これは彼らのジャズ・トリビュート企画盤の第2弾で、電化マイルス時代にオマージュを捧げたライヴ録音にアンプもサポートで参加しております。
一方で、それらと繋げて楽しめそうなのが、デトロイトのクリエイターたちがウエストバウンド時代のファンカデリック音源をリミックス/リエディットした企画盤『Reworked By Detroiters』。アンプやムーディーマン、アンドレスといった先に触れた名前はもちろん、リクルースやアンダーグラウンド・レジスタンス、アルトン・ミラー、クロード・ヤングJr、マーセラス・ピットマン、エクトモーフ、ゲイ・マーヴィンらモーター・シティーの錚々たる才人たちが参加し、ロッキッシュなファンク古典の小気味良いグルーヴを増幅させています。ガレージ・バンドのダートボムズによるカヴァーもいいアクセントとなるでしょう。
さらに、これらのタイトルに近いタイミングで、ムーディーマンとセオ・パリッシュがピースフロッグに残した90年代後半~2000年代初頭のアルバムたちが順次リイシューされていることも付け加えておきましょう。星座を描くように繋がっていくデトロイト音楽の文脈を知るという意味ではもちろん、単純にテクノ/ハウス史においても重要極まりない作品ばかりであります。そういえばセオ・パリッシュも今年リリースのシングル『Gentrified Love Part 3』でアンプをフィーチャーしていたことですし、このあたりのオリジネイターたちの活躍にもまだまだ期待したいところですね!