パール・ジャムの偉大なディスコグラフィと『Dark Matter』に繋がる関連作をピックアップ!
〈グランジ〉という宣伝文句で紹介された最初のバンドとされるグリーン・リヴァーで活動し、その後マザー・ラヴ・ボーンを組んだストーン・ゴッサード(ギター)とジェフ・アメン(ベース)が、マイク・マクレディ(ギター)と結成したムーキー・ブレイロック。そこにオーディションを経てエディ・ヴェダー(ヴォーカル)が加入、テンプル・オブ・ザ・ドッグの活動や改名を経てデビューしたのがパール・ジャムだ。衝撃的な“Alive”や“Jeremy”を含む初作『Ten』(91年)は1年かけて全米2位まで上昇し、ブレンダン・オブライエンをプロデューサーに迎えた2作目『Vs.』(93年)は初登場で全米1位を記録。本国ではニルヴァーナをも凌ぐ規格外の成功ぶりは、最初からオルタナティヴ(傍流)じゃなく新しいアメリカン・ロックの主流と呼ぶべきものだった。グランジの流行後もその世代の中心的存在として不動の人気を保ち、成功に伴うメンバー間の緊張も反映した『Vitalogy』(94年)と『No Code』(96年)も連続で全米1位をマーク。
テンプル・オブ・ザ・ドッグでも絡んでいた元サウンドガーデンのマット・キャメロン(ドラムス)が98年に加入して現在の5人が揃い、2000年にチャド・ブレイク制作の『Binaural』を発表する。以降も変化を繰り返しながら作品を重ね、自分たちのレーベルとしてモンキーレンチを設立した2009年には10年ぶりにオブライエンをプロデュースに迎えた『Backspacer』をリリース。個々の活動の広がりを経て再集結した2013年作『Lightning Bolt』はグラミーに輝き、その後は〈ロックの殿堂入り〉も果たしている。ジョシュ・エヴァンス制作の前作『Gigaton』(2020年)も実験的な意欲作として聴き逃し厳禁なのだ。
パール・ジャムのオリジナル・アルバムを紹介。
左から、91年作『Ten』、93年作『Vs.』、94年作『Vitalogy』、96年作『No Code』、98年作『Yield』、2000年作『Binaural』、2002年作『Riot Act』(すべてEpic)、2006年作『Pearl Jam』(J)、2009年作『Backspacer』、2013年作『Lightning Bolt』、2020年作『Gigaton』(すべてMonkeywrench/Republic)
ショーン・ペン監督・主演映画「フラッグ・デイ 父を想う日」のサントラは、同監督の「イントゥ・ザ・ワイルド」に続いてエディ・ヴェダーが担当。カントリー調の滋味深い曲が並び、父娘の絆をテーマとした本編に合わせて2曲で愛娘オリヴィアと共演する。
アンドリュー・ワットがプロデュースした11年ぶりのソロ作。ヴェダー自身とワット、ジョシュ・クリングホッファーがほぼ全曲を共作し、チャド・スミスも交えてひとつのバンドのような一体感で仕上げた手応えが『Dark Matter』に直結したのは確かだろう。
こちらもアンドリュー・ワットならではのレジェンド仕事。ジョシュ・クリングホッファーにチャド・スミスという『Earthling』と重なるメンツがバックを固め、主役の野生を解き放つ。“All The Way Down”ではストーン・ゴッサードが共作/演奏で参加。
パール・ジャム躍進期の92年にストーン・ゴッサードがシアトルの仲間たちと結成し、フロントマンのショーン・スミスが2019年に急逝するまで断続的にリリースを重ねていたブラッド。こちらはスミスと生前に録音していた曲を含む現時点での最新作だ。

前作『Ordinary Man』(2020年)の成功を受けてアンドリュー・ワットがプロデュースを続投した、帝王オジーの最新ヒット作。トニー・アイオミやザック・ワイルドら縁深いギタリストが並ぶなか、“Immortal”にはマイク・マクレディが駆けつけていた。
もともと98年に無料配布用のプロモ盤として制作されるも廃棄処分となっていたライヴ盤が、時を経て公式で蔵出し。同年のメルボルン公演を収めたもので、ドラマーがジャック・アイアンズ(元レッチリ)だった時期の唯一の公式ライヴ盤としても貴重だ。