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鳥山明の最高傑作と語られる「SAND LAND」の映画版がBlu-ray・DVD化!

鳥山明, 横嶋俊久 『SAND LAND』 バンダイナムコフィルムワークス(2024)

 20世紀を代表する日本の漫画作品は「ドラゴンボール」と「スラムダンク」と言えるだろう。その「ドラゴンボール」の作者、鳥山明が2024年3月1日に惜しくも逝去された。ニュースはまたたく間に世界中で報道され国境を越え世代を超えて愛された作家であり、その偉業を様々な追悼コメントを通じてあらためて思い知らされた。1980年の年始から連載開始となった代表作のひとつ「Dr.スランプ」には大きな衝撃を受けた。圧倒的な絵の巧さ。初めて見るファンタジーな世界観。「んちゃ!」「ほよよ?」「キーン」「うほほーい!」など特異な言語感覚にも心を奪われた。80sニッポンの〈時代の空気を作った〉という意味で大きな影響を与えた作品だ。少年チャンピオン派だった私がジャンプ大好き少年に変わったのもこの頃だった。(同誌では1979年に「キン肉マン」1983年には「北斗の拳」そして1984年より「ドラゴンボール」の連載が開始されている。)その鳥山明の最高傑作と語られる作品がご紹介する「SAND LAND」だ。2000年に「週刊少年ジャンプ」で全14話にわたり短期集中連載され国内外で人気を博したのち昨年8月にサンライズ × 神風動画 × ANIMAという名だたる実力派制作陣が集結し映像化。映画が公開された。今年5月29日(水)にBlu-ray・DVDが発売される。魔物と人間が共存する水を失った不思議な砂漠の世界が舞台。ピュアな心を持つ全身ピンクの悪魔の王子(魔王サタンの息子)・ベルゼブブが魔物のシーフ、人間の保安官・ラオとトリオを組み砂漠のどこかに存在する〈幻の泉〉を探す旅に出る冒険ファンタジー。ユーモア溢れるひと懐っこいキャラ、らしさ全開の丸みを帯びたフォルムがたまらない車、戦車。先生が敬愛されたジャッキー・チェンのカンフー映画、若かりし頃にパロディ作品を描いた「スター・ウォーズ」などからの影響を感じた。わかりやすいストーリーであらゆる世代が楽しめる暖かい世界観。泣けるラスト。前情報なしでも十分に楽しめる大傑作だ。