世界中に感動作を届け続けるディズニー&ピクサーの最新作は、どんな人の中にも広がっている〈感情たち〉の世界を舞台にした「インサイド・ヘッド2」。すでに公開中の世界各国では、歴史的大ヒットを記録! 日本では2024年8月1日に劇場公開されました。
前作「インサイド・ヘッド」(2015年)で描かれたライリーを子どものころから見守る頭の中の感情たちに加えて、今作ではライリーが思春期を迎えたことで、〈大人の感情〉たちが加わります。
前作で監督を務め、今作ではエグゼクティブ・プロデューサーを務めるピート・ドクター氏(ピクサー・アニメーション・スタジオ チーフ・クリエイティブ・オフィサー)が来日。ピクサー作品を知り尽くした彼と、ディズニー&ピクサーの大ファンであり、「リメンバー・ミー」(2018年)で主人公ミゲルの日本版声優を務めた石橋陽彩さんの対談が実現しました。
最新作「インサイド・ヘッド2」の音楽の魅力
石橋陽彩「ディズニー&ピクサーの大ファンなので、今日の対談をとても楽しみにしていました。ピクサー作品では音楽がとても重要な役割を果たしていると思います。そこで、まず『インサイド・ヘッド2』について、音楽を中心にお話をお聞かせください」
ピート・ドクター「今作の作曲家は、前作『インサイド・ヘッド』を手がけたマイケル・ジアッキーノのパートナーであるアンドレア・ダッツマンです。前作の楽曲をうまく織り込みながら、『インサイド・ヘッド2』の曲を作ってくれました」
石橋「音楽制作チームとの作業では、音楽でライリーの思春期を表現するために参考にしたことや意識したことはありますか?」
ピート「この作品に関わった人たちはみんな、とくに思春期の頃に忘れられない思い出がある人ばかりだったんですよ。
作曲家のアンドレアから聞いて驚いた仕掛けがあります。ライリーのテーマ曲があり、ホッケーのシーンから始まるのですが、物語が進むにつれ音楽もシンパイに取って代わるんです。そして最後にヨロコビのテーマと合致する。最初は相いれなかったそれぞれの音楽が最後に一緒になるので、その音楽の仕掛けを知っているとエンディングでさらに感動できると思います」
石橋「試写を拝見してすぐ、もう一度見たいと思っていたのですが、今のお話を聞いてますます見たくなりました! うまく合致するというのは、曲調が似ているということでしょうか?」
ピート「キーが一緒で……今は歌わないほうがいいですよね(笑)(鼻歌を歌って……)。音楽用語は詳しくないのですが、うまく合うんですよ」
石橋「『インサイド・ヘッド2』を拝見した後、とくに気になった感情が今回新しく加わったシンパイで、いつ自分の心に宿ったのだろうと考えたら、ライリーと同じ年頃だったと気づきました。僕は小さな頃から歌やダンス、お芝居をしていて、子どもの頃はヨロコビの気持ちが強かったのですが、中学校に上がる頃から予期せぬ出来事を考えてしまうシンパイの感情が出てきたんです。映画を見て、ライリーに共感する点がとても多くありました」
ピート「私たちはみんな同じだと思います。思春期ぐらいになると環境が変わり、新しい世界に身を置く機会が増えるでしょう。そこに自分はなじめるのだろうか、うまく属することができるのだろうか、という気持ちが生まれるもの。でもそれがあるからこそ頑張れるので、悪いことばかりではないんです。シンパイのように頑張りすぎちゃうこともありますよね」