
ロックンロールを久しぶりにぶちかましたい
新曲“SHINE ON”を放った後、「ここまで長かったです。いろいろ言いたいことはたくさんあるけど、でもそんなことより、THE YELLOW MONKEYのロックンロールを久しぶりにぶちかましたい。そんなにヒット曲はありませんけど、代表曲のオンパレードでいきます!」と宣言した吉井。

その言葉通り、“Romantist Taste”からキャリアを象徴する楽曲が次々と披露された。しなやかなバンドグルーヴのなかで観客と吉井のコール&レスポンスが鳴り響いた“Tactics”、エマのサイケデリック&クラシカルなギター独奏からはじまった“聖なる海とサンシャイン”。さらに最大のアンセムの一つである“BURN”、エマとヒーセが花道でプレイした“ROCK STAR”へ。楽曲を重ねるにつれてメンバー全員の音が有機的に絡み合い、ダイナミックにして官能的なアンサンブルが生み出された。

「因縁の東京ドーム。コロナがあったり、みなさんも大変な4年間だったと思いますし、4年間のブランクがあるのに、平均年齢58歳のバンドにもかかわらず(大歓声と大拍手)。ヒーセね、興奮しすぎて一睡もしてません。いないだろう、こんな61歳。遠足じゃねえし(笑)」と笑顔で話す吉井も、このライブを全身で楽しんでいるようだ。
「いつか僕らも大人になり老けてゆく/MAKE YOU FREE 永久に碧く」という歌詞が観客のハートを揺さぶった“楽園”、「君とスパーク 夜はスネーク」というラインが突き刺さった“SPARK”とヒットシングルを連発。オーセンティックなロックンロールを血肉化し、日本のポップシーンに深くて強い楔を打ち込んできたTHE YELLOW MONKEYの凄さをダイレクトに実感できる場面が続いた。

ドラムソロ→ドラムとベースのセッションに導かれた“ソナタの暗闇”、再集結後の代表曲の1つである“天道虫”でシリアスなグルーヴに巻き込んだ後は、“太陽が燃えている”。エマがアリーナ席をぐるりと回り、センターステージへ移動。心地よい一体感を生み出した。
ここでいったんメンバーはステージを下り、スクリーンには吉井の治療にまつわるモノクロの映像が映された。病気が見つかったときのメンバーの心情、自分の身体に向かい、復帰に向けてひたむきに努力を続ける吉井の姿がリアルに刻まれた映像からは、〈すべてを明らかにしたうえで前に進みたい〉という彼らとスタッフの覚悟が伝わってきた。
再びステージに戻ってきた4人が奏でたのは“人生の終わり(FOR GRANDMOTHER)”。重厚にしてシリアスな音像、痛みと寂しさが溢れ出すメロディライン、そして「血が泣いてるんだよ」のリフレインが広がる。さらに“SUCK OF LIFE”では生と性をリアルに描き出し、大きな感動へと結びついた。「愛とはあなたのため!」(吉井)とコールされた“LOVE LOVE SHOW”でライブは一気にゴージャズな雰囲気へ。ヒーセがセンターステージへと移動し、高揚感をさらに引き上げた。

ここで吉井はゆっくりと観客に語り掛けた。「アルバムが完成しております。『Sparkle X』という、ついに10枚目のアルバムです」「いままでのTHE YELLOW MONKEYのうまみ成分を残しつつ、本当に新しい、みんなで楽しんで作ったアルバムなので発売日を心待ちにお願いします」「アルバムの新曲のなかに〈人生の7割は予告編で/残りの命 数えた時に本編が始まる〉という歌詞があります。まだ若い方もいらっしゃると思いますが、一緒に本編を楽しみたいと思います」。
そんな言葉に導かれたのは新曲“ホテルニュートリノ”。オーディエンスの手拍子とともに演奏されたこの曲は、THE YELLOW MONKEYの未来をしっかりと照らし出していた。