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「ギャルマインドって何?」
「えっと、ギャルと言ってもグレたりするんじゃなくて、周りがどうであろうと、自分らしさをブレずに保ちたいっていうマインドです」
HIP HOPユニット・lyrical schoolのオーディションの最終審査の日、〈ギャルマインド〉を自分のアピールポイントとして挙げていた私はこう答えた。
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口に出してみると照れ臭くなってしまって、すぐに撤回したくなった。その時話を聞いてくれていたスタッフさんと、グループでの活動を続けてきたminanさんは「なるほど~」と答えてくれた。しかし、それは理解したのかイマイチ刺さらなかったのか、どちらなのか判断できない微妙な反応だった。
その日のことを思い出したのは、ラッパーのvalkneeさんのファースト・フル・アルバム『ordinary』を聴いた時。一昨年のりんご音楽祭に行って、初めてvalkneeさんのことを知った。悪天候の会場で、雨と泥で全身がグシャグシャになるまで踊った。
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valkneeさんのことが気になって仕方がなくなった私は、ネットに載っていた彼女のプロフィールを見て、lyrical schoolの存在を知る。偶然同じ時期に開催されていた新メンバー募集オーディションに応募して、いまの私がいる。valkneeさんの音楽は、夢を持たせてくれたきっかけであり、私が追い求める〈ギャルマインド〉の定義だ。
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〈Good girlには程遠い けどBad bitchっていうよりこっち〉 ――このフレーズを聴いた時、人生のテーマをまた見つけられたような気持ちになった。この曲を抱きしめながら、〈なんでもない女の子〉である自分を愛して、いざという時には闘える準備をいつだって整えていたい。
そしてvalkneeさんには、先月リリースされたlyrical schoolの現体制初のアルバム『DAY 2』の“Ringing”の作詞を担当していただいている。実際にレコーディングにも立ち会っていただき、こんなにも夢みたいなことがあっていいのかと思う。私が冒頭のロングヴァースを歌った自信作なので、ぜひ一度聴いてみてほしい。
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【写真と文】hana:8人組のHIP HOPユニット、lyrical schoolでMC/ヴォーカルを担当。lyrical schoolは4月に現体制で初めてのアルバム『DAY 2』(ビクター)をリリースし、5月からは全国ツアー〈DAY 2 TOUR〉もスタートしたばかり。定期公演やその他諸々の最新情報は〈https://lyricalschool.com/〉にて。