ソロ5年目の斉藤朱夏が変化への決意を示す!!!!!

 ミニ・アルバム『くつひも』(2019年)でソロ・アーティストとしての道を踏み出して早5年。その節目を記念した声優・斉藤朱夏のミニ・アルバム『555』は、エンジェル・ナンバーの意味が示す通り、〈変化〉や〈転機〉を感じさせる作品になった。

斉藤朱夏 『555』 SACRA MUSIC(2024)

 その大きな〈変化〉は新たな作家陣の起用。デビュー以来ほぼ全曲の作詞(や作曲)を手掛けてきたハヤシケイの名前は今回なく、代わりにJunxix.をはじめ気鋭のクリエイターたちが参加している。

 なかでも注目はシンガー・ソングライターの703号室が作詞した2曲。柔らかな風合いで〈弱さは翼だ〉と歌う“こころ”、星銀乃丈によるチルなサウンドに乗せて素直な気持ちを伝える“離れないで”の、心の内をそっと明かすような裸の言葉は、主役と同世代の703号室だからこそ書けたものだろう。

 かと思えばラップ入りのテクノ・ポップ“ぷぷぷ”は代表曲“パパパ”を思わせるし、結びのバラード“みかたっ”での〈くつひもを結び直してっ〉というフレーズは、これまでの歩みを踏まえたうえでさらなる景色を見に行かんとする決意の表れにも思える。デビューから5年を経てもなおワクワクが止まらない、彼女らしい一枚だ。 *北野 創

左から、斉藤朱夏の2023年のミニ・アルバム『愛してしまえば』(SACRA MUSIC)、703号室の2023年作『BREAK』(SPACE SHOWER)