
壷阪健登の音楽がピアノを通して溢れ出す
――松井さんから見た壷阪さんというと?
松井秀太郎「壷阪さんの音楽を聴いて感じるのは世界観の大きさ。それを初めに強く感じたのは、壷阪さんが昨年11月にヤマハホールで行なった〈From OZONE till Dawn presents: 壷阪健登 ソロ・ピアノ・コンサート “Departure”〉です。それまで彼の演奏は、先ほどお話に出たセッションなどで御一緒した時に聴いたり、配信動画などで観たりすることはあったのですが、しっかりと演奏を聴くのはその時が初めてでした。
そこで感じたのが、壷阪さんの演奏って、物語があり、その世界がどんどん広がっていくということ。たとえて言えば、彼がピアニストとしてピアノを弾いているというよりも、彼の音楽がピアノを通して溢れ出てくるような感覚。そのような演奏は、楽器こそ違いますけど、自分の目指すところでもあるので、それ以来ひとつのコンサートの中でしっかり共演したいという思いが強くなっていったんです。
ですから、今回開催するコンサートについても、当初ヤマハさんからコンサート開催の御提案をいただいた時に、私の方から、〈是非、壷阪さんとのデュオコンサートをやらせてください〉とお願いしたものなんです。壷阪さんの〈Departure〉が今回のライブの大きなきっかけになっています」
壷阪「それは嬉しいですね。あのコンサートは僕にとって非常に大きな転機になったので」
――それはどのような点で?
壷阪「ソロピアノでホール公演をするのは、そのコンサートが初めてでした。フルコンサートグランドピアノCFXに触れ、このホールの響きの中で演奏していく中で、ピアノってこんなことができるのか、響きを聴くってこういうことかと、弾けば弾くほどたくさんの音楽的な気づきがありました。
この経験はアルバム『When I Sing』を制作する上で、作曲面でも演奏面でも大きな影響を与えてくれましたし、その後の、東京フィルハーモニー交響楽団との“ラプソディー・イン・ブルー”の演奏(2024年5月15日に開催された〈第33回 平日の午後のコンサート〉)や、東京芸術劇場コンサートホールで開催された〈METROPOLITAN JAZZ Vol.4 TOKYO PIANO NIGHT〉での小曽根さん、大林武司さんとの3台ピアノといった、今の自分の活動にも繋がる大きな機会だったと実感しています。
僕を音楽的に大きく成長させてくれた、ここヤマハホールでまた演奏できることを心より嬉しく思っていますし、今度は秀太郎くんとのデュオという新しい編成で挑戦ができることにもワクワクしています」

音の響きをホールに任せる完全アコースティックライブ
――松井さんは8月のデュオコンサートに対してどのような期待をお持ちになっていますか?
松井「期待するものはたくさんあるのですが、最初に挙げられるのが、マイクやPAを使わないで演奏できるという点。自分は普段、ピアノ/ベース/ドラムを迎えたクァルテットで演奏することが多いのですが、人数が多く各楽器の音量にも差があるため、バランスを取るためのマイクやPAが必要になります。ですがヤマハホールのようなコンサートホールで、ピアニストだけと一緒に演奏するデュオですと、完全にアコースティックなので音の響きをホールに任せることができます。そのように生音で演奏をすることができるのは本当に大きな魅力です。こうやって(壇上で)しゃべっているだけでホールの響きを感じてワクワクします。
加えてパートナーが壷阪さんですから。彼のピアノによって自分の楽曲や演奏がどう変化していくのかがとても楽しみです」
壷阪「ボーカルとのデュオでは演奏しますが、管楽器とのデュオはあまりないので、貴重な機会ですね。楽しみにしている一方、しっかり気を引き締めて臨まないと、と思っています(笑)」
――今、楽曲というお言葉が出ましたが、当日のレパートリーはどのようになるのでしょうか?
松井「これまでの自分の曲や、作曲中の新曲も含めてこれから少しずつ決めていこうと思っているところです。
自分の書く曲って、たいていの場合ものすごくシンプルに作ってあって、演奏者の意志に任せる部分がとても多いんです。ですからデュオになると、より自由になり、行きたいところに進んでいくことができるようになると思っています。そしてその自由な部分に壷阪さんのピアノが入ることによって、曲が新たな方向へと広がっていくような気がしているので、とてもワクワクしています。ホールでのデュオ演奏というのは、それが最も良い形で実現できる理想のライブです」
壷阪「僕の方も同様で、今アレンジに取り組んでいるところです。僕のアルバム『When I Sing』の収録曲もいくつか演奏しようと思っています」
――ソロピアノの楽曲をトランペットとのデュオで演奏するというのは、かなり大きなアレンジになりそうですね。
壷阪「そうですね。ですがそれよりも、これまでソロピアノでしか演奏していなかった曲がどう変化するかの方が楽しみです。普段からメロディと大譜表という3段譜で書いているので、主旋律は想定して作曲していますが、自分の楽曲がトランペットという楽器でどのように響くのかはとても興味がありますし、秀太郎くんの視点が入ることでどのように広がっていくのか、とても楽しみにしています。この公演に向けたアレンジを進めているところです」

信頼しあうふたりが音楽を多方面に広げる念願のデュオ公演
――当日はそれぞれのソロ演奏も披露されるのでしょうか?
壷阪「はい、その予定です。せっかくふたりだけのコンサートなので、それぞれがひとりになった時の音楽も併せて是非聴いていだきたいと思っています。
ソロピアノは皆さんも想像しやすいと思うのですが、トランペットのソロがセットリストに組み込まれるのはとても貴重ではないでしょうか。あの音色、そして高い技術と音楽性を持つ秀太郎くんだからできることだと思います」
――松井さんはヤマハのトランペットを使っていらっしゃるんですよね。
松井「ええ。以前からヤマハを愛用させていただいています。その時々で違う音が出せて、表現したい音色をコントロールしやすく、とても大好きな楽器です。また未定ではありますが、今回のコンサートではフリューゲルホルンも使うと思います」
――最後にコンサートへの意気込みを改めてお聞かせください。
松井「念願が叶ったという気持ちです。壷阪さんと一緒に演奏することによって、どのようなコミュニケーションが生まれ、どのような音楽を作っていけるだろうかということをずっと考えていたので、今回のデュオコンサートを皮切りにして、それがいよいよ実現するのはとても嬉しいです」
壷阪「秀太郎くんとコンサートを通して共演するのは今回の〈Duet SHUTARO × KENTO〉が初めてですが、ともにFOTDという同じ環境の中で、お互いの音楽をサポートしあいながら成長している仲間ですので、見ようとしている音楽的な景色や方向性が共有できている実感があります。その信頼関係のもと、今回のコンサートを起点にして、ふたりの音楽を多方面に広げていけるものだと思っています」
LIVE INFORMATION
Duet
SHUTARO × KENTO

2024年8月30日(金)東京・銀座 ヤマハホール
開場/開演:18:30/19:00
出演:松井秀太郎(トランペット)/壷阪健登(ピアノ)
料金:5,500円(税込/全席指定)
主催:ヤマハ株式会社ヤマハホール
■注意事項
※都合により出演者・曲目が変更になる場合がございます。あらかじめご了承ください。
※コンサート会場への未就学児のご入場はご遠慮いただいております。
※チケット料金には消費税が含まれております。
■チケット情報
チケットぴあでのご予約・お申し込み
Webからのお申し込み:http://ticket-search.pia.jp/pia/search_all.do?kw=272-657
※座席選択可能
Pコード:272-657
発売日:2024年6月8日(土)
■お問い合わせ
ヤマハ銀座店
TEL:03-3572-3171(ヤマハ銀座店 インフォメーション)
営業時間:11:00~18:30
定休日:毎週火曜日(祝日の場合は営業いたします) ※2024年8月13日(火)~16日(金)は休業いたします。
住所:東京都中央区銀座7-9-14
アクセス:https://retailing.jp.yamaha.com/shop/ginza.html#access
駐車場:https://retailing.jp.yamaha.com/shop/ginza/access-map-parking.html
https://retailing.jp.yamaha.com/shop/ginza/hall/event/detail?id=5475
PROFILE: 松井秀太郎
1999年、東京都国立市生まれ。幼少期より独学でピアノを、9歳よりトランペットを始める。国立音楽大学附属高等学校を経て同大学ジャズ専修を首席で卒業。谷田部賞受賞。高校ではクラシックを専攻し、同校附属オーケストラとコンチェルトを共演。日本モーツァルト青少年管弦楽団のトランペット奏者として活動。同大学入学を機にジャズ専修へ転向し、小曽根真、エリック・ミヤシロ、奥村晶らに師事。Newtide Jazz Orchestraのリードトランペッターとして活躍。在学中より自身のジャズコンサートやBLUE NOTE TOKYO ALL STAR JAZZ ORCHESTRAへの参加、HYDEのコンサートのサポートなど本格的にプロ活動を始める。小曽根真と神野三鈴によるプロジェクトFrom Ozone Till Dawnに参加し、小曽根真との共演でPMF(パシフィック・ミュージック・フェスティバル)やブルーノート東京などに出演。2022年、テレビ朝日「題名のない音楽会」に今注目すべきアーティストとして出演し注目を集め、以後、出演を重ねる。同年11月、1stシングル“Neapolitan Dance”を配信。2023年7月、『STEPS OF THE BLUE』でCDデビュー。9月にブルーノート東京にて発売記念ライブを成功させ、2024年1月より全国9か所にて〈松井秀太郎 Concert Hall Live Tour〉を行い高い評価を得る。自身のリーダーライブ公演、ソロ活動のほかに米津玄師の楽曲“LADY”に参加するなどアーティストのサポート、スタジオミュージシャンとしても幅広く活動。またオーケストラとクラシックの協奏曲の共演を予定するなど、ジャンルを超えたマルチな才能に注目を集めている。2024年第36回ミュージック・ペンクラブ賞新人賞受賞。
オフィシャルサイト:https://avex.jp/shutaro-matsui/
PROFILE: 壷阪健登
1994年神奈川県横浜市生まれ。ジャズピアノを板橋文夫、大西順子、作曲をヴァディム・ネセロフスキー、テレンス・ブランチャードに師事。慶應義塾大学を卒業後に渡米。2017年、オーディションを経て、ダニーロ・ペレスが音楽監督を務める音楽家育成コースの〈Berklee Global Jazz Institute〉に選抜される。これまでにパキート・デリベラ、ミゲル・セノン、ジョン・パティトゥッチ、キャサリン・ラッセルらと共演。2019年にバークリー音楽大学を首席で卒業。2022年、石川紅奈とユニット・sorayaを結成、全楽曲の作曲・サウンドプロデュースを手掛け、2024年に1stアルバム『soraya』をリリースする。2022年よりジャズピアニスト小曽根真が主宰する若手アーティスト育成プロジェクトFrom Ozone till Dawnに参加。2023年7月にソロピアノでスペインのサン・セバスティアン国際ジャズ・フェスティバルに出演。11月に銀座ヤマハホールにてピアノリサイタルを催行する。2024年5月、“ラプソディ・イン・ブルー”を栗田博文指揮/東京フィルハーモニー交響楽団と好演。また、ソロピアニストとしてのデビューアルバム『When I Sing』をユニバーサルミュージック(ヴァーヴ)よりリリースし話題となる。7月に金沢・札幌で小曽根真とのデュオ公演の開催も予定しているなど、ジャンルを超えた多彩な才能で次世代を担う逸材と注目を集めている。
オフィシャルサイト:https://www.kentotsubosaka.com/
ユニバーサル ミュージック オフィシャルサイト:https://www.universal-music.co.jp/kento-tsubosaka/