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世界に例がない個性派ピアニスト3人が共演した〈お祭り〉

――3人が同じ日に集まってレコーディングしたのですから、デュオの録音のときはひとりが参加せず、コントロールルームでふたりの演奏を聴いていることになりますね。

武本「そうです。スタジオの一番いいところで聴いていました(笑)。〈こんなふうに演奏しているのか〉という感動も受けて、リアルタイムで音楽が作られている場所にいられるのは至福の時間だと思いました」

高橋「ほかのレコーディングで、特定の曲で自分がちょっと外れてコントロールルームで待つことはあったけど、ここまでふたりのピアニストがガッツリ絡んでいる演奏に対してピアニストである僕が外から聴くという経験はもちろん初めてです。実に新鮮な体験でした」

平倉「私も、エンジニアの方がいるコントロールルームでレコーディング中の音を聴く経験は、〈すごい、贅沢だな!〉と思いました」

――このアルバムでは、ところどころに“Interlude”としてソロが収められていますね。

高橋「予定していた楽曲の収録が終わってホッとしていたら、いきなり平野さんに〈今からソロを録るからね。ひとり2分。即興で。ではよろしく!〉って言われたんです(笑)。3人の個性とスタイルの違いを浮き立たせるためにソロを入れようと閃いたらしくて」

平倉「2分って言われたので、タイマー代わりにケータイを持ち込んだんですけど、演奏の途中で画面が真っ暗になって、慌てて画面にタッチしながら弾きました(笑)」

――その“Interlude”は、アルバム構成と同じ平倉さん、武本さん、高橋さんの順に演奏されたとうかがいました。

平倉「はい、最初が私でした。せっかくの即興ソロですし、やはり自分の演奏だとわかるようなものを弾こうと思って、あのような演奏にしました。私といえば〈ジャズ〉だろう、ということで(笑)」

武本「僕はファツィオリで演奏したのですが、ファツィオリはとにかく音の鳴りがものすごい。それを生かしたサウンドにしたいと思いながら、一音一音を紡いでいくような感覚で演奏しました。タイマーを見ながら(笑)」

高橋「最後の僕は、ふたりの演奏を聴いた後だったから、〈うわー、やられちゃったな〜。同じ感じにはできないなぁ〉というプレッシャーの中で、タイマーを忘れてスタジオに入ったんです(笑)。結果、武本くんと全く同じ2分15秒でゴールしました(笑)!」

――ラストの楽しい“Blue Monk”まで、本当に流れるように聴けて、しかも3人それぞれの持ち味も知ることができるのが『Thirty Fingers』という一枚だと思います。 

高橋「3人のピアニストが集まってスタジオでレコーディングされたデュオ作品なんて、たぶん世界を見ても例がないでしょう。その意味で、このアルバムからある種の〈お祭り〉のような雰囲気を感じてくれたらいいなと思います」

平倉「私は、ピアニスト必携のアルバムになったと思っています。ピアニストには100%、全員に聴いてほしいですし、もちろんリスナーの方にも聴いてほしい。3人とも全然タイプが違うので、いろんな楽しみ方ができる作品だと思います」

武本「3人それぞれが持っている音楽観の違いが、この一枚を聴けばありありとわかります。ライブの真空パックのような感じもありますし、すごく聴きやすいアルバムになっているので、ぜひ多くの人に聴いてほしいですね」

 


RELEASE INFORMATION

高橋佑成, 武本和大, 平倉初音 『Thirty Fingers』 Days of Delight(2024)

リリース日:2024年8月21日(水)
品番:DOD-046
価格:2,750円(税込)

TRACKLIST
1. I’ll Remember April
2. Freakin’ Ray of Sunshine
3. Interlude_A
4. Unconscious
5. Metsa
6. Interlude_B
7. Cherokee
8. P.N.J
9. Interlude_C
10. Blue Monk

(2024年3月8日 東京録音)

■演奏者
高橋佑成 piano, fender rhodes
武本和大 piano
平倉初音 piano, fender rhodes

 

LIVE INFORMATION
発売記念ライヴ

2024年11月21日(木)東京・南青山 岡本太郎記念館
※詳細は記念館HPにて
https://taro-okamoto.or.jp/