多様な才能が集まった梅田サイファーの軌跡を、近年の関連作品と併せて振り返ってみよう!
そもそもは大阪・梅田駅の歩道橋におけるサイファーとして2007年頃に始まり、そのまま〈場〉や〈集まり〉の名称として機能してきた梅田サイファー。そんな成り立ちゆえに、〈コレクティヴ〉に発展した現在の梅田サイファーも、いわゆる〈グループ〉とは似て非なる個の集合体というスタンスが特徴だ。現在そこに名を連ねるのは、R-指定、KOPERU、KennyDoes、KZ、peko、KBD、ILL SWAG GAGA、コーラ、テークエム、teppei、HATCH、Cosaqu、そしてDJのSPI-Kという総勢13名。Cosaquがビート制作の核を担うなか、KennyDoesやKZ、pekoもトラックを手掛け、映像作家やデザイナーの顔を持つ者もいる。Creepy Nutsで不動の支持を誇るR-指定は言わずもがな、KEN THE 390率いるDREAM BOYから台頭したKOPERU、黒衣での活動が長年の愛好家には知られていたpekoら、バトルや音源を通じた個々の躍進が梅田の求心力と遠心力を高めてきた。
近年は「キングオブコント」オープニング曲を2年連続で提供したり、情報番組「ラヴィット!」から生まれた赤坂サイファー“Love it Wednesday”(2023年)の制作に代表されるオーヴァーグラウンドな露出も目立ってはいるが、各人はマイペースにソロやユニットでの配信リリースも自由に重ねており、作風も美意識も人それぞれだ。梅田サイファー名義ではALIの“FEELIN' GOOD”(2021年)や餓鬼レンジャー“アゲナゲン”(2021年)に客演し、いきものがかり曲を再解釈した“SAKURA”(2024年)も披露。R-指定とKZとKBDがラッパ我リヤとマイクを回す“ヤバスギルスキル11”(2023年)という極めてコアな例がある一方、個々でヒプノシスマイク曲を書いたり、KennyDoesが私立恵比寿中学“Knock You Out!”(2024年)を、pekoがCuegeeや花譜の楽曲を手掛けるなど、イメージ以上に硬軟自在な各々の才能はこれからも各方面に輪を広げていくことだろう。 *轟ひろみ
梅田サイファーとメンバーの関連した近作を一部紹介。
左から、2021年作『ビッグジャンボジェット』、2023年作『RAPNAVIO』、Creepy Nutsの2024年のシングル『二度寝/Bling-Bang-Bang-Born』、ALIの2021年作『LOVE, MUSIC AND DANCE』(すべてソニー)、TiUの2023年作『SHOW TiME』(キューン)、ラッパ我リヤの2023年作『CHALLENGER』(MS)、hammaの2023年作『STRUGGLE』(hamma)、ヒプノシスマイク - Division Rap Battle-の2024年作『Welcome 2 Rhyme Anima+』(EVIL LINE)、2024年のコンピ『いきものがかりmeets』(エピック)、私立恵比寿中学の2024年作『indigo hour』(ソニー)、カインド&キンキー・ズーの2024年の7インチ『Pamukkale(Soulsupreme Remix)/Ghost Fuji feat. Koperu』(SoulGarden)、SPICY CHOCOLATEのニュー・アルバム『TOKYO HEART BEATS 2』(ユニバーサル)