Page 4 / 6 1ページ目から読む

個人のエゴより火花の綺麗さを捉えるのに必死だった

――ぴあのインタビューでは「Galileo Galileiっていう人格として生きている」とおっしゃっていましたが、反対に個々の考えやプレイヤーとしての個性が発揮された曲を挙げることは可能ですか?

岩井「う~ん……」

雄貴「インタビューって〈みなさん、どうですか?〉〈それぞれプレイヤーとして、どういう意識で……〉と聞くじゃないですか。それでベーシストが〈このベースが……〉と語ったり。正直、そういうことじゃないんですよね。Galileo Galileiは僕が考えたことをみんなで実現する場じゃないし、みんなGalileo Galileiとしてただ音楽をやっているだけなので」

岩井「このバンドは特にそれが顕著ですね」

雄貴「みんなが同じ方向を見ているとか統率されているとかじゃなくて、むしろその逆なんだけど……」

――バラバラだけど一丸としているというか。

雄貴「そう。歌詞についても話そうと思えばあえて深掘りした感じで話せますけど、みんなで素材を楽しくバキバキ彫っている中で生まれた歌詞です、というのが一番言えることかな」

岡崎「一曲一曲に対してのアプローチというよりアルバム全体でGalileo Galileiとして演奏しようと考えて突き進んでいたので、〈この曲のこのサウンドが〉というのがないんですよね。もっとでかいスケールで考えていました」

岩井「まだアルバムが肉体性を帯びていないのかも。ライブをすると自分たちの生の演奏がお客さんたちにどう聞こえるかを自覚してくると思うんですけど、レコーディングでは〈いいドラムを叩いてやったぜ!〉〈いいギターを弾いてやったぜ!〉みたいなのがなくて。たとえば、“ヴァルハラ”のサビのギターは真輝くんが弾いたのがよかったからそれを採用していたり。個人のエゴを出したい欲より瞬発的に起こった火花の綺麗さを捉えることに必死で、それを重視していたのが大きいんですよね」

――コミュニケーションやキャッチボールの中からすべてが生まれているんですね。

雄貴「まさにそうですね。制作中、実際にキャッチボールをずっとしていたんです。キャッチボールって、いい球を投げても〈ナイスボール!〉で終わりじゃないですか。制作もその感じでした。岡崎くんが“ヴァルハラ”のギターを弾いて〈ナイスギター!〉って言って、はい、レコーディングおしまいっていう。プレイヤーとして余計なプライドを燃やさないで作れたと思います」

 

少年性を守り続ける4人

――“カラスの歌”は尾崎兄弟のパーソナルな記憶がもとになっているにもかかわらず、全員が深く理解してレコーディングできたとコメントされていました。2作を通して子どもの視点や目線が特徴だと感じましたが、そのあたりも共有していたのでしょうか?

雄貴「子どもたちと一緒に遊んでいたんですよね。僕が野球好きになった理由の一つは、息子が野球にハマったことなんです。近くの公園に小学4、5年生の子が集まって野球をやっていて、メンバーで遊びに行くと人数が揃うから草野球をやったりして。その経験が“カラスの歌”になったんです。

大事なのは、一緒に過ごす中で、互いに興味がある状態で悲しい思いも含めて共有するというか、すべてを一緒に見ること。それが今のメンバーの強い繋がりになっているんじゃないかな。たとえば“SPIN!”は、野球とかスポーツへの思いと、娘のすずめちゃんが心臓の病気とトリソミーという障害を抱えて生まれてきたことを反映しています。すずめちゃんが生まれたばかりの頃の大変なことや体調を崩して救急車を呼んで入院したこと、全部を一緒に見て共有してしてしまっているのが言語化できないメンバーの繋がりになってるんじゃないかなって。

だから尾崎兄弟の昔話が、このメンバーなら曲に落とし込める。Galileo Galileiという共同体として音楽をやっている、Galileo Galileiとして生きている感覚が強い状態は変わらず続いていて、しかも特に今、顕著だと思います」

――“UFO”も尾崎兄弟のパーソナルな経験がベースにあるそうですね。みなさんはそういう個々の経験やエピソードをどう受け止めていますか?

岡崎「制作の合間や制作が終わったあと、自分たちが小学生だった1990年代に流行ったアニメや漫画、ゲームの話を共有して〈懐かしいね〉と語り合う時間が多かったんです。そうやって音楽以外のことを共有できた自然な時間が重要でしたね」

雄貴「制作の後半がめちゃくちゃ忙しくて〈制作終わった会〉ができていなかったので、この間、ピザやお酒を買ってきてここ(わんわんスタジオ)でアルバムを流しながら宅飲みしたんです。けど、まったくアルバムの話にならなくて。最終的に『うちゅう人 田中太郎』とか『コロコロコミック』の漫画の話をずっとしていました。〈なんでこんな漫画が僕らの心にめっちゃ響いたんだろう?〉〈うんちってなんであんなに魅力的だったんだろう?〉〈だって、うんちだぜ?〉という話で終わった(笑)」

岩井「アルバムの打ち上げなのにね(笑)」

雄貴「アルバム2枚流してたのに、聴き終わったことに誰も気づいていなくて(笑)」

岩井「ただ、意識的に互いの原風景を共有しようとしたことは一回もなくて。みんな、なぜか少年性を守り続けているんです。たぶんそれは、今のGalileo Galileiのスタンスに繋がっているんじゃないかな。プラットフォームの状況やレコード会社の思惑みたいな外的要因じゃなくて、自発的で内的なエネルギーだけで動いているという」

雄貴「たとえば、息子と瓜二つの人造人間が開発されたとして、彼を息子と同じように愛せるか?みたいな話を始めたらもう夜中コースですね(笑)。でも不思議とそこから曲が生まれたりするので、無駄なことが一つもない。普通に考えたら無駄なことをこのメンバーで一緒に体験すると、結果、無駄にならないんです。他人が見たら関係ないことばかりしていると思われるでしょうけど、全部が大事なんですよね。

だから今回のアルバムはリリースしてライブでリスナーに伝えて、みんながどう思うかを汲みとったあと、どういうアルバムだったのかがわかりそう。今の段階では〈なんかめっちゃいいとは思うんですけど、まだわかんないっす!〉って感じなんです」