Photo by John Spinks

ロック、いや、ポップミュージックの在り方すら変えてしまったかもしれない、レディオヘッドの金字塔的傑作にして壮大な実験作『Kid A』(2000年)と『Amnesiac』(2001年)。リリースから20年が経った2021年、双子の関係にある両作がひとつの作品になり、未発表曲などを多数加えた『Kid A Mnesia』としてよみがえった。これを記念して、Mikikiはアーティストや表現者たちに依頼をし、〈レディオヘッド『Kid A Mnesia』と私〉というテーマで2作についての思いを綴ってもらった。それぞれの『Kid A Mnesia』観を楽しんでいただければと思う。 *Mikiki編集部

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RADIOHEAD 『Kid A Mnesia』 XL/BEAT(2021)

 

レディオヘッド『Kid A Mnesia』とDAIKI(BBHF)

『Kid A』、『Amnesiac』が一枚のアルバムとしてリリースされる。そんなニュースが目に入った時、今ひとつ理解ができずにいたのだが(よくある○○周年デジタルリマスター盤なのかなとも思った)、今現在自分のバンドのツアーの移動中にてこの『Kid A Mnesia』を反芻した事によって溜飲が下がった気がした。

ほぼ同時期にレコーディングしていた2枚のアルバムの曲達は、本来ならばこのように一つの作品としてあるべき姿だったのかも知れない!と納得させられる強い意志が感じられる。

この2枚がリリースされた当時のレディオヘッドには、『OK Computer』までのギターサウンドや、あえてカテゴライズするならば、わかりやすくロックバンドとして認識するには十分な要素が沢山あったし、自分もそう思っていた。そして『Kid A』にもその延長線上の進化を勝手に期待していた方達も少なくなかっただろうとも思う。

そういった意味で賛否のあったこのリリースによって、間違いなく音楽史に大きな衝撃を与え、その衝撃を自分もくらってしまい、サウンドやトムの綴る歌詞の理解に努めようとしたが、当時の自分の音楽的ボキャブラリーが乏しいあまりに、一時はレディオヘッドから距離を置いてしまったのもこのタイミングだった。(今では猛烈に後悔の念しかない)

その後『In Rainbows』がリリースされた2007年にまたふとレディオヘッドを聴きなおし、そこでようやく前述の2枚への理解に近づき、そこからは個人的ベストアルバムの上位に入るぐらいにお気に入りの作品になった。

改めてこの『Kid A Mnesia』の中身に触れると、1曲目の“Everything In Its Right Place”のイントロから“Life In A Glasshouse”に至るまでのアンニュイな恍惚感や、未発表曲の“If You Say The Word”“Follow Me Around”を含め、この企画盤が無ければこの2枚を通して聴くことはなかったかも知れない。

6枚目のアルバム『Hail To The Thief』の“2+2=5”に続く、今後のバンドとしての指標になった2作品は大衆的にも、そしてバンドにとっても良い作用として大きな変化をもたらせてくれる作品だったのではないかと思う。

レディオヘッドのファンや音楽好きな方達には、反感を買うような発言になってしまうかも知れないが、自分はこの作品を今ではとてもロックでありポップであると感じている。

そして今後も自分の世界観に変化を分け与え続けてくれる作品に間違いは無いと思う。

 


PROFILE: DAIKI(BBHF)
88年5月7日生まれ、北海道出身、3人組バンド・BBHFのギターを担当。2011年にCURTISSを結成、ボーカル&ギターを担当し、BBHFの前身バンドであるGalileo Galileiにサポートギタリストとして参加。2018年よりBird Bear Hare and Fish(現BBHF)として活動をスタート。そのほか、楽曲提供など幅広い活動で注目を集める。

Instagram:https://www.instagram.com/heyimdaiki/
オフィシャルサイト(BBHF):https://birdbearhareandfish.com/
Instagram(BBHF):https://www.instagram.com/bbhf_official/
Twitter(BBHF):https://twitter.com/bbhf_tw
Facebook(BBHF):https://www.facebook.com/Bird-Bear-Hare-and-Fish-1834011239943434/
YouTube(BBHF):https://www.youtube.com/channel/UCn6q_L_wHqPtH8TLVQMCD3w

 


RELEASE INFORMATION

RADIOHEAD 『Kid A Mnesia』 XL/BEAT(2021)

リリース日:2021年11月5日
配信リンク:https://radiohead.ffm.to/kid-a-mnesia

■国内盤3CD
品番:XL1166CDJP
価格:3,850円(税込)
国内盤特典:歌詞対訳・解説付/ボーナストラック5曲収録
高音質UHQCD仕様

■輸入盤3CD
品番:XL1166CD
価格:3,190円(税込)

■限定盤3LP(レッドヴァイナル)
品番:XL1166LPE
価格:7,690円(税込)

■通常盤3LP(ブラックヴァイナル)
品番:XL1166LP
価格:7,690円(税込)

■日本盤3CD+Tシャツ
品番:XL1166CDJPT1
価格:8,250円(税込)
サイズ:S-XL

■限定レッドヴァイナル+Tシャツ
品番:XL1166LPET1
価格:12,090円(税込)
サイズ:S-XL

TRACKLIST
Disc 1 - Kid A
1. Everything In Its Right Place
2. Kid A
3. The National Anthem
4. How To Disappear Completely
5. Treefingers
6. Optimistic
7. In Limbo
8. Idioteque
9. Morning Bell
10. Motion Picture Soundtrack

Disc 2 - Amnesiac
1. Packt Like Sardines In A Crushd Tin Box
2. Pyramid Song
3. Pulk/Pull Revolving Doors
4. You And Whose Army?
5. I Might Be Wrong
6. Knives Out
7. Morning Bell/Amnesiac
8. Dollars And Cents
9. Hunting Bears
10. Like Spinning Plates
11. Life In A Glasshouse

Disc 3 - Kid Amnesiae + b-sides
1. Like Spinning Plates (‘Why Us?’ Version)
2. Untitled v1
3. Fog (Again Again Version)
4. If You Say The Word
5. Follow Me Around
6. Pulk/Pull (True Love Waits Version)
7. Untitled v2
8. The Morning Bell (In The Dark Version)
9. Pyramid Strings
10. Alt. Fast Track
11. Untitled v3
12. How To Disappear Into Strings
13. Kinetic *
14. Fast-Track *
15. Cuttooth *
16. The Amazing Sounds Of Orgy *
17. Trans-Atlantic Drawl *
*日本盤ボーナストラック