(左から)岡崎真輝、岩井郁人、尾崎雄貴、尾崎和樹

2023年に新たな形で再始動したGalileo Galileiは、アルバム『Bee and The Whales』のリリースと積極的なライブ活動によってファンとの再会を果たした。その後、〈THE FIRST TAKE〉への出演、盟友ポーター・ロビンソンとの邂逅、「劇場版 僕らのGalileo Galilei 〜会えたね〜」の上映、北海道日本ハムファイターズの試合後にエスコンフィールドHOKKAIDOでのライブなど、怒涛の活動を続けている。

しかし、このバンドが居心地のよい安全地帯に留まり続けるはずもなく、前作のリリースからわずか1年4か月、4人から迸り溢れ出るエネルギーは新たな作品を生み出した。『MANSTER』と『MANTRAL』、14曲入りの大作が2枚同時にリリースされた。球速を緩めることなく全力投球し続ける彼らに、リスナーも必死でついていくしかない。

一人の人間の中に同居する〈多面的な本性〉にフォーカスを絞った、このコンセプチュアルな2作はどのようにして生まれたのか? そして、汲めども尽きない創作意欲の源泉とは? 尾崎雄貴(ボーカル/ギター)、岩井郁人(ギター)、尾崎和樹(ドラムス)、岡崎真輝(ベース)の4人が揃ったタイミングで話を聞くことができた。

Galileo Galilei 『MANSTER』 Ouchi Daisuki Club/Suzume Studios/VMG(2024)

Galileo Galilei 『MANTRAL』 Ouchi Daisuki Club/Suzume Studios/VMG(2024)

 

友だちと過ごしていたらアルバムが2枚できちゃった

――『MANSTER』『MANTRAL』はいつ頃から、どんなふうに制作されたのでしょうか?

尾崎雄貴「1年前にツアーのMCで〈最強のアルバムを作りたい〉と話したんですけど、その直後に〈最強のアルバムを2つ作ろう〉と思いついたんです。BBHFでは対になるEPを2枚出したり(2019年作『Mirror Mirror』『Family』)、2枚組の『BBHF1 -南下する青年-』(2020年)を作ったりしましたが、今回はそれぞれが独立したアルバムなんですよ。聴いた人から〈こっちは好きだけど、こっちは好きじゃない〉という意見が出てもいいくらい。思いついた時点では制作が大変になると思っていなくて、終盤は本当に大変だったんですけど」

――(笑)。

雄貴「〈MANSTER〉〈MANTRAL〉という2つのテーマを掲げつつも、それらを考えすぎないようにしていました。普段どおりスタジオに集まって曲を作る日もあれば、ほかのことをやる日もあって。曲ができないからみんなで野球の試合を見に行ったりとか。友だちと過ごしていたらアルバムが2枚できちゃった、というのがぴったりな表現かな」

――〈最強のアルバムを作ろう、しかも2枚も作っちゃおう〉というアイデアを聞いた時、みなさんはどう思いました?

岩井郁人「俺たちなら絶対できるな!って、それに尽きますね。『Bee and The Whales』はファンとの再会であり、メンバーとの再会であり、真輝くんという新しい遺伝子が加わった新生Galileo Galileiの1stアルバムでした。前作で実感したのは、自分たちの体力が無尽蔵だということ。ツアー後も不完全燃焼なパワーが有り余っていて、それを使えば無限に生み出せると思ったので、どこまで行けるか試してみたくて。

そのパワーの源はメンバーの関係性なんですよね。それぞれ世の中の色んなものに興味があって、互いの人間性にも興味があり、それらがエネルギーになってぐるぐる回り続ける永久機関的な面白さがあるんです。そのことが2枚のアルバムに落とし込まれたのはすごく自然でした。〈少し止まらないと〉って思うくらい回り続けるコマみたいなんです」

岡崎真輝「『Bee and The Whales』は僕にとって人生初のアルバム制作で、その過程でミュージックビデオも自分たちで作るとか、クリエイティブなことを深いところまで追求するメンバーの姿を目の当たりにしました。なので今回の方向性が決まった時、不安はまったくなく一つの目標に向かって突き進んでいくだけでしたね」

尾崎和樹「〈できる〉って思えること自体が特別なことなんだろうなって。そう思えているうちは、もし〈次はアルバムを3枚作ろう〉となっても全然作れるんじゃないかな」

雄貴「3枚じゃキリが悪いから4枚にすると思う」

岩井「偶数のほうがいいよね」

――次作は2枚組が2作同時リリースかもしれませんね(笑)。