〈マーキュリー・プライズ〉で最優秀英国アルバム賞を獲得した初作から2年。そのままスター街道を突き進むかと思いきや、メンバーの脱退などトラブルに見舞われていたアルト・Jが無事に2作目を発表しました。モダン・トリップ・ホップやチル&Bとの同時代性を強く感じさせつつ、あくまで基調となるのはアコースティック楽器の音色。マイリー・サイラス“4×4”のネタ使いで発表前から話題を呼んでいた“Hunger Of The Pine”も、蓋を開ければべス・ギボンズのソロ作みたいなフォークトロニカ・タッチの仕上がりです。たびたびレディオヘッドと比べられてきましたが、もっと突っ込んで言うと今回は『The King Of Limbs』に似た深遠さ。音数が少ないぶん、想像力を掻き立てられます。