オアシスのライヴはなぜかくも感動的なのか?　再結成ライヴのセットリストを大予想!!

　ノエルとリアム、解散後のそれぞれの活動も好きだが、この2人が同じステージに立つかけがえのなさは何年経っても忘れがたい。

　デビューからの15年間でメンバー・チェンジを繰り返してきたオアシス。ありがたいことにそのすべての編成を観てきた私が思うのは、なにしろどの時代のオアシスも例外なく楽しかった。出来の良くないライブのときでさえ、兄弟が並ぶ姿にスカッとした。

　考えてもみてほしい、一声発するだけで会場の空気を支配する稀代のヴォーカリスト（＝リアム）と、名曲を書けるばかりか、ギター・マニアとしてデビュー前からマンチェスターでその名を馳せてきたギタリスト（＝ノエル）がいるバンドだ。普段着のままスタジアムに立った、というのが彼らを語る際の常套句だが、そんなことより〈信じられないような天才がバンドに2人〉という事実のほうが圧倒的だ。ゆえに、ライヴハウスだろうがスタジアムだろうがネブワースだろうが、ひとかたならぬ感動で胸がいっぱいになる。それがオアシスのライヴだ。

　さて、そんな彼らの再結成ツアーが2025年7月からスタートする。セットリスト作りの依頼を受け、私が設けたテーマはただひとつ――〈これが人生で最後にオアシスを観る機会だったら〉。

　バンド登場のSE、つまり1曲目は当然“Fuckin’ In The Bushes”だろう。4作目『Standing On The Shoulder Of Giants』の冒頭を飾ったこの曲は、それからオアシス解散時までずっとライヴでバンドが登場する合図になっていた。同様に、ライヴのオーラスでもあるアンコール最終曲はビートルズのカヴァー“I Am The Walrus”。この2曲を必ず最初と最後にやる、というのはオアシス・ライヴのお約束だ。

　問題は、2曲目に何をやるかだ。やはりここは、初作の冒頭を飾り、何者でもなかった頃に〈今夜俺はロックンロール・スターだ〉と妄想を解き放った“Rock ‘N’ Roll Star”を置きたい。続く2曲も、やっぱオアシスすごいわ、と会場全員が思えるであろう力技のパワフルなラインナップ。もしこのあたりでリアムの喉や機嫌が悪くなり何か起こっても、〈“Live Forever”を聴けたし、まあいっか〉と自分を慰められる。

　次の“Listen Up”は再結成で必ず聴かせてほしい一曲だ。“Cigarettes & Alcohol”のB面曲だが、オアシスの真骨頂と言えるメロディーと声と歌詞が味わえる。オアシス後期に幾度かノエルとリアムそれぞれにリクエストしたが、前者は〈うちのキッドはもうこれを歌えない〉、後者は〈セットリストを決めるのはアニキ〉と実現しなかった。リアムの喉の調子も2024年段階では良さそうだし、同じくパワフルなヴォーカルを堪能できる“Slide Away”と続けて聴けるといいな!

　あと、今回特別にノエルがギター、リアムが歌という、二人だけのアコースティック・セッションを設けてみた。その1曲目は初期の“Married With Children”、2曲目はリチャード・アシュクロフトを歌った“Cast No Shadow”。後者は96年の〈ネブワース〉の音源でも素晴らしかった。

　アンコールで〈ドンルク〉を先にした理由は、“Whatever”の生まれてきてよかったと思えるポジティヴさでこの祭りの大団円を迎えたかったから。想像するだけで震えるじゃないか。

オアシスのライヴ盤。
左から、『Knebworth 1996』、『Familiar To Millions』（共にBig Brother）

 

妹沢奈美の期待する再結成セットリスト
1. Fuckin’ In The Bushes
2. Rock ‘N’ Roll Star
3. Cigarettes & Alcohol
4. Live Forever
5. Listen Up
6. Slide Away
7. Half The World Away
8. Talk Tonight
9. The Masterplan
10. Morning Glory
11. Some Might Say
12. Lyra
13. Supersonic
14. Married With Children
15. Cast No Shadow
16. Wonderwall
17. Champagne Supernova
[EN]
18. Don’t Look Back In Anger
19. Whatever
20. I Am The Walrus

 

MOVIE INFORMATION
「オアシス：ライヴ・アット・ネブワース 1996.8.10」
2024年10月18日よりTOHOシネマズ日比谷ほか全国ロードショー
配給​ページ：https://www.culture-ville.jp/oasisknebworth1996810