〈セックス・しば漬け・ロックンロール〉をモットーに、2009年に京都で結成されたパンクロックガレージバンド、おとぼけビ〜バ〜。世界の名だたるフェスに出演し続け、ここ最近はレジェンドアーティストの来日公演で立て続けにサポートアクトを務めるなど、日本国内でも大きな注目を集めている。国内外を爆速で駆け回るおとぼけビ〜バ〜の現在地を、ライターの鈴木喜之に確かめてもらった。 *Mikiki編集部


 

ビッグネームに呼ばれまくった2025年

2024年2月に来日したクイーンズ・オブ・ザ・ストーン・エイジ(以下、QOTSA)のインタビュー現場で、おとぼけビ〜バ〜のCD『SUPER CHAMPON』をジョシュ・ホーミにプレゼントしたところ、あのデカいガタイで子供のように「ウワー」と声に出しながら大喜びした。

「おとぼけビ〜バ〜が大好きだ。デイヴ・グロールもファンだから、フー・ファイターズと俺たちとで、彼女たちをツアーのゲストに誘うのはどっちが先かって話してたんだけど、レッド・ホット・チリ・ペッパーズに出し抜かれちまった!」というジョシュのコメントは、直後に収録されたラジオ番組でもほぼそのまま繰り返されたので、多くの人が耳にしただろう。そして、それから1年半ほど過ぎた頃には、つくづくQOTSAはタイミングに恵まれなかったのだな、と同情したくなるような事態が展開する。

ご承知の通り、2024年7月にレッチリの本国でのライブでサポートアクトを無事こなしたおとぼけビ〜バ〜は、2025年に入ると、2月にグリーン・デイ、3月にジャック・ホワイト、そして10月には満を持してのフー・ファイターズ、さらにはオアシスと、大御所の来日公演に呼ばれまくることになる。

彼女たちのサポート出演は、いずれのショウもソールドアウト後に発表・決定したものであり、メインアクト側からプロモーターに強い要請があったのは想像に難くない。ついでに、と言うのもなんだが、ジャック・ホワイトの楽屋には、たまたま野球観戦のため日本を訪れていたパール・ジャムのエディ・ヴェダーも姿を見せ、そのあとに行われたフェンダー・ジャパンによるギターイベントの舞台裏では、よよよしえ(ギター)にジャックがギターをプレゼントした際、エディがギターのストラップをつけるのを手伝うなんていうシーンまで見られた。

こうした引き寄せ無双ぶりに、当初は〈事務所のゴリ押し?〉なんていう見当違いの難癖もあったが(彼女たちは、UKのダムナブリーという小さなインディーレーベルと契約してはいるが、日本国内ではレーベルもマネジメントもない完全自主体制で活動してきている)、フー・ファイターズがやって来た頃には、さいたまスーパーアリーナを埋め尽くすオーディエンスが、おとぼけビ〜バ〜の熱演に大歓声をおくる光景も当たり前のように繰り広げられていた。デイヴ・グロールは、これまでに複数のメディアで彼女たちのファンであることを公言しているため、フー・ファイターズのファンにとっては、もはや自然なこととして受け入れられたのだと思う。ちなみに昨年デンマークのロスキレ・フェスで、デイヴは「これまで見た中で最高にカッコいいバンド、おとぼけビ〜バ〜に捧げるよ」というMCから“La Dee Da”を演奏したのだが、これは、今年のたまアリ公演でもそのまま再現されている。

個人的には、もうそこで十分に感極まっていただけに、直後にオアシスの東京ドーム公演まで追加されるとは、いささか大きめなサイズのボーナスステージがついてきたとでも言いたい気持ちだ(オアシス公演の出演時、よよよしえは「サポートアクトツアーファイナル」という名コメントを披露していた)。