いまこそ知っておきたい、オアシス解散後の兄弟が歩んできた無敵のキャリア
オアシス解散以降のリアムとノエルは二人ともキャリアハイを更新し続けているのだが、その充実の現在地が日本に伝わっていない印象のため、このタイミングで2009年からの兄弟の歩みを記しておく。まずリアムは、ゲム・アーチャーとアンディ・ベルらオアシス残党とビーディ・アイを結成。2010年作『Different Gear, Still Speeding』を含む2作のアルバムを発表するも、セールス不振などが理由で2014年に解散した。その後はソロに転身し、2017年にファースト・アルバム『As You Were』をリリース。見事、全英1位を記録した。一時期はドン底だったという彼がスターとしてカムバックするまでの姿は映画「リアム・ギャラガー:アズ・イット・ワズ」にとらえられている。
その初作も含め、2019年の2作目『Why Me? Why Not.』、2022年の3作目『C’mon You Know』と、スタジオ盤にはグレッグ・カースティンやアンドリュー・ワットらが貢献。現代的な音作りとオーセンティックなロックの魅力を融合させている。『C’mon You Know』のジャケットが象徴しているように、オアシスを体験していない若い世代からの支持も増しているようで、それには長らく本調子でなかった声が完全に復活していることも大きいだろう。2022年には〈ネブワース〉公演を単独で成功させ、今年の4月にはジョン・スクワイアとのコラボ作『Liam Gallagher & John Squire』を発表。ちなみにスクワイアとの作品も含めて、リアムのソロ作はすべて全英1位をマーク。つまり、オアシスを再結成するまでもなく、リアムは絶好調だったのだ。
そしてノエルは、2011年8月にノエル・ギャラガーズ・ハイ・フライング・バーズ名義での初作『Noel Gallagher’s High Flying Birds』を発表。2014年に『Chasing Yesterday』、2017年に『Who Built The Moon?』、コロナ禍を挟んでの2023年に4作目『Council Skies』と、コンスタントにアルバムを発表している。全英チャートでのポジションは最新作が2位だったことを除き、すべて1位を記録。ノエルは、嗜好性の赴くままに色鮮やかにサウンドを拡張していて、特にデヴィッド・ホルムズと組んだ3作目と以降のEP群で鳴らしたダンサブルでサイケな音作りには、彼のモッド~ハシエンダ流儀が見えるようだった。2017年以降は、ハイ・フライング・バーズのライヴ・メンバーにゲム、末期のオアシスを支えたドラマーのクリス・シャーロットも加わり、今年の〈フジロック〉で大トリを飾ったことも記憶に新しい。つまり、オアシスを再結成するまでもなく、ノエルは絶好調だったのだ。
リアム・ギャラガーの作品。
左から、2017年作『As You Were』、2022年作『C’mon You Know』 (共にワーナー)、ライヴ盤『MTV Unplugged (Live At Hull City Hall)』、ジョン・スクワイアとの2024年のコラボ作『Liam Gallagher & John Squire』(Warner UK)。
ノエル・ギャラガーズ・ハイ・フライング・バーズの作品。
左から、2011年作『Noel Gallagher’s High Flying Birds』、2015年作『Chasing Yesterday』、2017年作『Who Built the Moon?』、2023年作『Council Skies』(すべてSour Mash)