ピクシーズから数えて40年近いキャリアを誇るキム・ディールだが、フロントに立つブリーダーズはオリヴィア・ロドリゴのツアーで前座に招かれるなど新たな層からも注目を集めている。そんな好機に届いたのが初のソロ名義アルバムだ。収録の“Are You Mine?”と“Wish I Was”(の別ヴァージョン)が2013年に世に出ていたように、曲作りは時間をかけてゆっくり進められ、録音は生前のスティーヴ・アルビニと行われていた。ディストーションの幻惑とドラッギーな反復で迫る“Crystal Breath”からメロディアスな“A Good Time Pushed”まで、時代の生き証人としての風格と自然体な気負いのなさが眩しい。快作!