同時代のインディー・ロック・シーンに絶大な影響を与え、90年代へ至る道を作りながらも解散……その不在時にもカリスマとして君臨してきたピクシーズ。復活後は安定して活動を推移している彼らの功績を、ニュー・アルバム『Beneath The Eyrie』のリリースを機に振り返ってみよう!

 まさかのリユニオンで世界中のファンを狂喜させたヴィヴィアン・ガールズがタグ付けされる〈ノイズ・ポップ〉というジャンルがすっかり定着したいまとなっては、どの時代の作品でもいい、ピクシーズを聴いてもノイジーなギター・サウンドと、ポップで、場合によってはドリーミーなメロディーのアンビヴァレンスはもはや想定内。驚きはそれほどではないかもしれない。だから、彼らがデビューと共に当時のリスナーに与えたインパクトを知るには、それなりに想像力が必要だ。

 アメリカのボストンで活動を始めたピクシーズがイギリスのインディー・レーベル、4ADからデビューした87年当時、USでもUKでも現在のノイズ・ポップに通じる新たなロックの胎動はすでに始まっていた。しかし、それがグランジ・ブームを経て、〈オルタナティヴ〉という言葉と共に認知されるのは、それから数年後。つまり、デビュー当時、ピクシーズはアンダーグラウンド・シーンから同じように頭角を現してきたソニック・ユース、ダイナソーJr、サウンドガーデンら――その後、グランジ/オルタナ・シーンの顔となるバンドと共に異端の存在だったことを今一度、思い出しておきたい。