サドル然としたサドル
――“GTO”はkikatoさん作曲です。
kikato「〈(tinkから)MALICE MIZERを意識した曲を〉と言われて作りました」
tink「サードワマ(ワンマンライブのこと)のために、ミュージカル系の曲をもう一つやりたいよね、と。“機械じかけの変態~ラケット女王様~”では『テニミュ』(ミュージカル『テニスの王子様』『新テニスの王子様』)を踏襲したので」
――“機械じかけの変態~ラケット女王様~”は、「テニミュ」的な2.5次元舞台風のセリフの応酬とMALICE MIZER調のサウンドで構成された曲で、ライブではなぜかバトミントンのラケットを使用したパフォーマンスも見どころですね。
tink「だから次は『ハイキュー!!』か『ペダステ(弱虫ペダル)』しかない!と。『刀剣乱舞』はKOUGU維新がすでにやってますし。楽屋でそういう話をしていたときに、メイクさんが〈サドルですよ〉って。
チャリのパーツをただ換えただけなのもつまらないし、そこからどのようにサドルを表現するかってなったときに、小学校の6年生を送る会で男プリキュアA(地元のダチ)が一輪車の出し物をやっていたのを思い出して、サドルがメインの車体である一輪車を題材にしました」
――「ペダステ」はキャストが手にしているハンドルで自転車レースを表現する演出が特徴ですよね。一方、“GTO”はサドルであると。メイクの方も、色々な十字架の世界観を理解していることが伝わってくるエピソードですね。
tink「その人は舞台メイクもやってるからっていうのもあったのかも」
――たしかに、近年はヴィジュアル系のメイクや衣装を担当されている方が2.5次元舞台も担当していることは多いです。そういった時代の変化も作風に影響を与えているのですね。
dagaki「あのサドルも歌詞にある一輪車のじゃなくて、実は自転車のなんですよね。一輪車のサドルって長いからパッと見伝わりにくいかなと、自転車のサドルの方がサドル然としてるから」
――サドル然、聞いたことのない言葉が出ました。
kikato「サウンド面もヴィジュアル系だけじゃなくて、2.5次元っぽさと、あとはソシャゲや音ゲーなども意識しています」
――たとえば、「あんさんぶるスターズ!」などでしょうか。
kikato「そうですね。ああいうゲームのヴィジュアル系っぽい、ダークでゴシックな曲……『あんさんぶるスターズ!』内のユニット・ValkyrieにALI PROJECTが楽曲提供していますよね。そういうものを参考にしている部分もあります。90年代のヴィジュアル系ってポップじゃないですか。間口が広かったというか。だからこそ(90年代V系リバイバルを掲げるのであれば)今流行ってる曲の要素を取り入れることも大事かなって」
tacato.「音も初期から随分変わりましたよね。BUCK-TICKの“ICONOCLASM”みたいになった」
kikato「金属っぽい音を加えたりして、グレードアップしてるよね」
tink「ベースがね、いい感じで動いてくれてて……」
misuji「いや、この曲は弾いてへんて!」
――セリフの掛け合いはkikatoさんとtacato.さんによるものですね。
kikato「2人で並んで収録しました。アニメのアフレコ収録と同じです。その方法で録ると空気感も残るんで」
tacato.「セリフのグルーヴが」
misuji「ベースとドラムを一緒に録るようなもんです。リズム隊じゃなくてセリフ隊(笑)」
tacato.「楽しかったよね」
kikato「楽しかったですね」