
ソフトロックの意外な影響
――タイトル曲の“撃ち抜いてBaby,明日を撃てLady”は、いつ頃どのようにして作ったのですか?
「元になったコード進行は2年くらい前にiPhoneで録りました。iPhoneのデータがいっぱいになったので、いらないものを消していた時に、これは捨てずに何かに活かしたいと思って。それがアルバムをリリースして、ワンマンを終えた頃。そこから10月の頭頃に、あらかた仕上げてレーベルに提出した、という流れでした」
――アルバム収録曲よりもメロディオリエンテッド、当時の歴史と照らし合わせると1960年代後半のパワーポップ前夜のような音楽性、という印象を受けました。
「もともとは、ヴェルヴェツ(ヴェルヴェット・アンダーグラウンド)の“After Hours”みたいな、アコースティックな曲を作ろうとしていたんです。ルート音が半音ずつ下がる感じは、シーナ&ロケッツの“MOONLIGHT DANCE”がリファレンスになっています。それを4人でアレンジしていったら、みんないい感じで好きに弾いてくれて、パワーポップバンドによるソフトロックのカバーのようなノリになりました。
アルバムではメンバーの気持ちが1960年代のビートミュージックに向いていましたが、今回は作曲した僕から特に何も注文しなかったし、完成した時のイメージも決めずに作っていきました。そういう視野のオープンさがいい感じに転がった曲だと思います」
――ソフトロックというのは、ビーチ・ボーイズの『Pet Sounds』を象徴とする、日本国内で生まれたカテゴリーのことを指していると思うのですが、そこは暴動クラブの音楽において激しいだけではないレイヤーの、重要な要素になっているのではないかと。
「レコード屋の棚でソフトロックと書かれているコーナーにあるアーティストの作品が好きで、最初はコンピレーションアルバムを買って聴いていました。アーティスト単体で好きな作品となると、スパイラル・ステアケースの『More Today Than Yesterday』が特に好きですね。レフト・バンクもめちゃくちゃ聴いてました。
僕の中で、ガレージロックがアドレナリン注射だとしたら、ソフトロックはわりと日本的というか、昔の歌謡曲のアーティストや作曲家たちに影響を与えていたという意味で、昔から聴き馴染みのある音楽なんです。暴動クラブには、どちらの要素も入っているんじゃないかなと」

反復せず突き進むユニークな曲構成
――いわゆるAメロ→Bメロ→サビの繰り返しではなくて、サビが2段階になっていて頭のメロディは使い回さない構成になっています。曲が前に進みながら展開していく、6分近い大曲です。このアイデアはどこから出てきたんですか?
「制作用のグループLINEにデモを送ったら、メンバーから〈長い!〉って返ってきました(笑)。
僕は普段の会話でもそうなんです。長々喋らずに端的に一言で言える人がカッコいいと思いつつ、話がアチコチに飛んじゃうタイプで……って今喋ってるこの感じがまさにそうなんですけど。これ、答えになってます(笑)?」
――はい。ここから話が展開されて、曲の話題に繋がっていくんだろうなと(笑)。
「ならよかったです(笑)。で、ソフトロックの曲って、メロディはわかりやすいんですけど、コード進行が変わっていたり、曲の展開がおもしろかったり、それ以前のオールディーズ音楽と比べると、さまざまな要素が詰まった凝った作りになっていますよね。
ソフトロックのそのあたりにフォーカスしていたら、僕の話がアチコチに飛んじゃうように、A→B→C→D→E→Fみたいな曲構成になって、戻れなくなっちゃったんです。その名残が、この曲には残っています。あと、前提としてアルバムとは違うことをやろうと思っていたので、そういった感覚が重なって6分近くになっちゃったんだと思います」