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井上富雄&飯尾芳史のサポートで辿り着いた自由で個性的なアンサンブル

――プロデューサーに迎えたTHE ROOSTERSの井上富雄さんとのレコ―ディングはどうでしたか?

「音の面は、井上さんとエンジニアの飯尾(芳史)さんにほぼお任せしました。アルバムをプロデュースしてくださったTHE NEATBEATSの眞鍋(崇)さんからは、ヴィンテージ機材のこと、1960年代の音や曲を活かすための演奏方法などについて教わりました。そして、井上さんと飯尾さんとの制作もまた、僕らにとって新しくて大きな学びがありましたね。今回のように歌のメロディを際立たせようとすると、演奏はどうしてもこじんまりして伴奏的になってしまうイメージがあるんですが、僕はそうなるのが少し恥ずかしいんですよね(笑)。

それについては、メンバーそれぞれの感性でクリアできそうだなって、作業を進めていくうちに実感できたんですけど、やっぱり音がぶつかっちゃうところや、しっくりこないところが出てくる。そうなると、僕らは音楽理論がわからないので、うまく回避できない。で、手慣れたロックンロールマナーに走ってしまいがちなんです。そこを、井上さんと飯尾さんが、プロデューサー、エンジニアというそれぞれの立場から、うまくサポートしてくださいました。お2人がいたからこそ、ジャンルを気にせずに、メンバーそれぞれの個性が活きた自由なフレーズの重なりが生み出せたと思います」

――サビでがなる釘屋さんのボーカルと、ベースの城戸“ROSIE”ヒナコさんのハモリのコントラストがすごくよくて。

「あそこはがなりたかったけど、がなるだけだとメロディが立っている曲の中でギザギザしすぎちゃうから、ヒナコさんの声を入れてみようって。いい感じにハマったと思います」

――MVもカッコいいですね。

「僕らのレパートリーの中ではポップな曲なのに対して、MVは殺伐としていますよね(笑)。ロケ地やセットは、なかなかエキサイティングでした。炎がめちゃくちゃ燃えてるし、血のりも使ったし、昔の刑事ドラマみたいだったんです。

撮影前にちょうど『あぶない刑事』を一気観したタイミングで、ヒナコさんと昭和の男のやさぐれ感やカッコよさについて話していたところだったので、個人的にも熱い内容になっています」

 

ロックンロールを信じて成り上がった浜田省吾へのリスペクト

――続く“あばずれセブンティーン”は、釘屋さんと同じ広島県出身のアーティスト、浜田省吾さんのカバーです。

「EP全体として、ポップだけど誰が聴いてもロックンロール、という印象にしたかったのと、単純に僕が浜田さんのファンなので、カバーすることにしました」

――この“あばずれセブンティーン”が収録されているアルバム『Home Bound』は、浜田さんのキャリアにおいて、飛び抜けてロックンロール色の強い作品ですが、それ以外のアルバムも含め、お好きなんですか?

「はい。フォーキーなデビュー期から、オールタイムで好きです。浜田さんは、アウトプットの色はさまざまでも、ずっとロックンロールという言葉を意識して第一線を走っていた人なんだろうなって、ライブからも作品からも感じることができるんです。僕はシンガーソングライターではないので、ロールモデルと言うとニュアンスは違ってきますが、ロックンロールを信じて売れた、成り上がることができた方のお一人という印象を持っていて、すごく勇気づけられました。〈オレについてこい〉みたいなタイプではなくて、人間の根源的な弱さとか情けなさとかを歌っていて、そういうことを汲み取ってくれている感じも、好きですね」