楽曲はずっと残る
サンドリオンの楽曲には多彩なクリエイターが関わっており、本作収録曲に参加した名前を挙げるだけでも、佐藤純一(fhána)、清竜人、堀江晶太、田村歩美(たむらぱん)、渡辺翔、ヒゲドライバー、4s4ki(アサキ)、パソコン音楽クラブ、いよわなど錚々たるメンツが並ぶ。そのなかでも、彼女たちを活動初期から支えてきた、やぎぬまかなは、黒木が作詞したDisc 1の実質的な1曲目を飾る軽快なピアノ・ポップ“S. T. A. R. T”(編曲はH ZETT M)で作曲および共作詞を担当したほか、“無重力ランデヴー”“LINE LOOP”“天体図”など本作最多の全6曲に関与している。
「私はポエムをたくさん書いていた時期があって、〈サンドリオンでも歌詞を書きたい!〉と直談判して実現したのが“S. T. A. R. T”でした。コンペで20人近くの作曲家さんが私の歌詞に対して楽曲を付けてくださって、誰が書いたかを知らない状態でそのなかから選んだのが、昔からお世話になっているやぎぬまさんの楽曲だった。レコーディングでやぎぬまさんと、当時のマネージャーさんと一緒にクラップを録ったのもいい思い出です(笑)」(黒木)。
「私、渡辺翔さんの書く楽曲が大好きすぎて、特に(汐入と小山が歌う)“ゼロイチ”は一日に何回も聴くくらいなので、この曲をソロで歌えなかったのが心残りです(笑)。二人の声の柔らかさ、息の使い方の相性が抜群なんですよね。それと清竜人さんに書いていただいた“ダッサイ”はそれまでの私たちにはなかった曲で、元カレに〈ダッサイ〉と言い放ついい女を演出できるので、自分に酔うことができて好きです!」(小峯)。
「佐藤純一さんはアルバム『märch』(2022年)のマスタリングから関わってくださって、その後に〈サンドリオン CheerfulLIVE~エール!エール!!エール!!!~〉というライヴを開催するにあたってエール・ソングが欲しいということでお願いしたのが“星のLarme”という楽曲でした。そうしたら、佐藤さんなりの私たちに対するエール・ソングを書き下ろしてくださったんです。楽曲に対する想いを手紙のようにして届けてくれたのも嬉しかったですし、私たちのライヴで佐藤さんのピアノ演奏をバックに“星のLarme”を歌えたことも印象深いです」(小山)。
「私は堀江晶太さんに書いていただいた“ゆびきりの唄”のトラックダウンのとき、私が歌割りを担当しているDメロの〈遠い青色に 手を繋ぐよ〉のところで愛未ちゃんが〈いいじゃん!〉みたいな反応をしてくれたのが、思い出に残っています。サンドリオンを始めた頃は歌が苦手だった自分が少しはみんなに追いつけたのかなと感じられて。“天体図”も〈ANIMAX MUSIX NEXTAGE 2023〉という大切なステージでの初披露だったので、ここ数年でいちばん緊張したんですけど、みんなで手を繋ぐ振り付けから始まって、メンバーの顔も見れるので思い入れがあります」(汐入)。
〈サウンド〉と〈オリオン座〉を掛け合わせたグループ名を掲げ、天体をモチーフにした楽曲を数多く歌ってきた彼女たちらしい、満天の星のようにワクワクする煌めきが詰まった本作。オリオン座が古くから航海の目印となってきたように、サンドリオンの音楽もまた、彼女たち自身の今後の歩みの助けになると共に、その輝きに惹かれて集まった人々の心を温かく照らしてくれることだろう。
「私たちはいろんなジャンルの曲を歌ってきたし、それをすべて網羅したベスト盤なので、きっとどんな人にも引っかかる何かはあると思っていて」(黒木)。
「世界中のお友達に届いてほしい。喜怒哀楽のすべてに合います!」(小山)。
「喜んでいるときは“ハッピーアイスクリーム”、怒っているときは“ダッサイ”、哀しいときは“ライフ・イズ・キューティクル”、楽しいときは……いっぱいあるので全部通して聴いてもらえたら(笑)」(小峯)。
「解散しても楽曲はずっと残るので、サンドリオンの活動期間には出会えなかった人にも、もしかしたら見つけてもらえるかもしれないし、ドリオンズ(サンドリオンのファン・ネーム)のみんなもいつでもこのアルバムを聴いてサンドリオンに帰ってきてください」(汐入)。
サンドリオンの作品。
左から、2020年作『SOUND OF BEST』、2021年のシングル“ハッピーアイスクリーム”、2022年作『march』(すべてスターダスト)、2023年のシングル“Angel Ladder”“天体図”、 2024年のシングル“Sunny Canvas” (すべてコロムビア)
『SoundOrion Memorial BEST!!!!』収録曲に関わったアーティストの参加作を一部紹介。
左から、H ZETTRIOの2024年作『Dynamics』(apart. RECORDS)、パソコン音楽クラブの2024年作『Love Flutter』(HATIHATI PRO./SPACE SHOWER)、4s4kiの2023年作『CODE GE4SS』(スピードスター) 、the band apart (naked)の2023年作『4』(asian gothic label)、TECHNOBOYS PULCRAFT GREEN-FUNDの2024年のシングル“Brave Blazar”(ランティス)、清 竜人25の2024年のEP『BOYFRIEND EP』(エピック)、fhánaの2024年作『The Look of Life』(コロムビア)