九州を拠点にワールドワイドな視点で活動を行う大学生アーティスト、Hibiki。高校在学中、様々なオーディションやコンテストに参加し、一昨年末に放送されたTV番組ではBTSメンバー、JUNG KOOKの作品“Seven”を歌唱し、驚異の歌唱力で話題となった逸材だ。2024年10月にリリースしたオリジナルのデビュー作“Desire”は、アジア最大級の映画祭〈第37回東京国際映画祭(TIFF2024)〉フェスティバルソングにフックアップされた。初の日本語詞となった2ndシングル“let me go”(2025年2月19日リリース)では、世界的に人気が再燃するドラムンベースを取り入れ、3rdシングル“empty cup”(2025年3月12日リリース)では、ドープなビートに孤独への葛藤を秘めたダークポップをドロップ。音楽的成長著しい19歳のHibikiと対話してみた。

Hibiki 『empty cup』 Hibiki(2025)

 

加速する変化に取り残される人々や地域格差への眼差し

――世の中どんどんアップデートという言葉のもとに変化が止まらない時代となっていますが、Hibikiさんは今の社会に対してどんなことを考えていますか?

「日々、進歩を感じることもありながら、ただ、やっぱり置いてかれている感覚もあるというか。あまりにも早く進みすぎていて、取り残されてしまっている一部の人という存在が気になります」

――なるほどね。時代の変化に対してスピード感のバランスがおかしくなってきているもんね。

「目の前で起きていることの整理整頓とか、みんな頭の中に落とし込むことに対して、このスピード感で対応できているのかな、みたいな」

――世の中、飛び交う情報量が多すぎたり。あと、AI的なテクノロジーに関してもね。環境を整えようとするとツールなどお金もある程度必要だったりします。

「そうですね、わかります。住んでいる地域によっても情報格差があって。高校時代まで、ずっと九州の山奥で過ごしてた人間からすると、余計に地域差じゃないですけど、そういうことを実感しているので。インターネットが普及した今の時代であっても見逃せないなと思います」

――人口も少ない山育ちで、つい最近までそちらで暮らしていたんですもんね。

「本当ですね。でも、今も山の側なんですけどね(多国籍な学生が集まるグローバルな大学に在学中)」

 

自分の魅力を今の時代に向けてどう発信するか?

――Hibikiさんは昨年、アジア最大級の映画祭〈第37回東京国際映画祭〉フェスティバルソングに“Desire”がフックアップされデビューしました。その後の活動はいかがでしたか?

「大学の学祭に出演させていただいて、あとは“Desire”のラテンリミックスをリリースしました。それこそ、流行りの生成AIを使って発信してみたり、振り付けを入れてみたりとかして、自分の魅力というのを今の時代に向けていかに発信していくかということについて考えていました」

――ミュージックビデオとかも、ショートでしたら生成AIによって作りやすい時代になってきました。その簡単さが良いことなのか悪いことなのか、あまりの進化のスピードで熟考すらできない状況だったりします。

「とはいえ、おもしろいなとも思っています。ですけど、国によってはTikTokが禁止されたり。今後、AIの進化が、社会に対してどんな影響を及ぼしていくかはとても気になっていますね」

――表現者としての最重要課題のひとつですよね。ちなみに大学の学祭へ出演してみていかがでしたか?

「学祭は知り合いや友達がたくさん来てくれて嬉しかったのと、あと“Desire”のリリースで知ってくれた方もいて。ありがたかったですね」