WANDSから8thアルバム『TIME STEW』が届けられた。

再始動から丸5年が経過し、歴代最長の活動期間となった第5期WANDS。“大胆”(TVシリーズ特別編集版「名探偵コナン vs. 怪盗キッド」テーマソング)、“Shooting star”(「名探偵コナン」エンディングテーマ)のほか、新曲“WE ALL NEED LOVE”“リフレイン”、セルフカバー“天使になんてなれなかった”“FLOWER”を収めた本作は、ボーカリスト・上原大史、ギタリスト・柴崎浩の化学反応を軸にした〈現在進行形のWANDS〉が体現された作品だ。

〈時間をかけてじっくり煮込み、新旧を溶け合わせた新たな味わい〉を意味する『TIME STEW』をタイトルに冠した本作について、上原、柴崎に語ってもらった。

※このインタビューは2025年3月25日に発行された「bounce vol.496」に掲載される記事の拡大版です

WANDS 『TIME STEW』 D-GO(2025)

 

新しいWANDSに辿り着くまでの5年

――ニューアルバム『TIME STEW』、じっくり楽しませてもらいました。上原さんのボーカル、柴崎さんのギターが生み出すケミストリーがさらに発揮され、深みを増した作品だなと。

上原大史「そうですね。そう思います」

柴崎浩「すごい客観視してるね(笑)」

――(笑)。タイトルの『TIME STEW』は〈時間をかけてじっくり煮込み、新旧を溶け合わせた新たな味わい〉という意味だとか。

柴崎「アルバムのタイトルを考えているときに、2024年のツアーの時期の心境を思い出してたんですよね。もともとのWANDSの味があって、(第5期として)丸5年活動してきて。上原という新たな才能が入ったことで、第5期WANDSもいい味が出てきたのかなと思ったりしながら演奏していたので」

上原「気が付けば、最長ボーカリストです(笑)」

――第5期の活動がいちばん長くなってますからね。この5年間はあっという間でした?

上原「ぜんぜんアッという間じゃないですね(笑)。早いとか遅いとかではなくて、単純に5年経ったなって」

柴崎「そうだね(笑)」

――WANDSのボーカリストとして、自分の色をしっかり出せている手ごたえも?

上原「それは年々……いや、3年目くらいからのスタートかな。そのあたりから世間の評価が変わってきたというか、自分のスタイルだったり、やるべきことだったりも見えてきて。そこで意識が変わりました」

――やるべきことというのは?

上原「ひと言では語れないですよね、それは。いろいろ複雑なものもあるんですけど、〈上原大史とはなんぞや〉というか、何が魅力で、何を求められているのかだったり。

そもそも(第5期スタート時点では)ファンに頼ってたわけじゃないですか。〈WANDS、知ってる。懐かしい。観てみよう。悪くないね。いいじゃん〉がスタートだったと思いますけど、今は第5期WANDSのファン、上原大史のファンもいてくれるので。昔のWANDSを知らない人も増えてるし、ドラえもんの声じゃないけど、上手く世代交代できているのかなと。そうなってきたのが3年経った頃だった気がします」

柴崎「僕はわりと早い段階で、〈昔の形に捉われるんじゃなくて、新しい色、新しい魅力を出さないと大変だな〉と思ったんですよね。それがたぶん第5期の3rdシングル(“YURA YURA”)くらいかな。そのあたりからいろんなことを試しながら曲を作り始めて、今に至るという感じです」