昨年11月から新しいヴォーカリストでWANDSが再始動した。第5期となるWANDSとしてリリースしたシングル曲やミリオンシングルの第5期ヴァージョン、アルバム用新曲も収めたハイブリッド・アルバム『BURN THE SECRET』がリリースされる。オリジナル・アルバムとしては21年振り、第5期としては初のアルバム! このアルバムの制作をメンバー3人に直撃した。
――昨年11月から第5期WANDSとして活動してきて、それに対する手応えや実感はいかがですか?
柴崎浩(ギター)「今はライブなどでファンの方と直接触れ合う機会が少なくて、なかなか実感しづらいところがありますよね。でも、2月にCD購入者特典のライブをやって、そのときはみんな喜んでくれている様子が見られてうれしかったですよね」
木村真也(キーボード)「僕は、柴崎くんがこんなに喋っているのが新鮮ですね(笑)」
柴崎「だいたいほかに喋る人がいると喋らないしね(笑)」
木村「この率先して喋っているのに〈おお~〉ってなっています(笑)」
柴崎「そういう目で見てたんだ(笑)。こういう昔からのメンバーがいると居心地がいいんですよ、カッコつけなくていいというか」
木村「いやあ、リスペクトしていますよ」
上原大史(ヴォーカル)「僕の場合は第5期からの活動なので、やることすべてWANDSでは初めて。これまでの楽曲を継承しつつイチからやっている感覚です」
――そんななかリリースされるニュー・アルバム『BURN THE SECRET』ですが、改めてこのメンバーで曲作りはいかがでしたか?
柴崎「僕も上原も、大阪と東京と離れているので、メールでやりとりしながらお互いに〈これどう思ってるんだろう?〉って探りながらやっていましたね」
上原「今までは自分の曲に自分の詞を充てることが多かったんですけど、WANDSになると人の曲、ましてや音楽の世界の大先輩じゃないですか。歌詞をつける重さが全然違うというか。そこで〈絶対いい歌詞にしないと〉って煮詰まったりスランプになったりしましたね。世界中の人がこれを聴いたらどう思うだろうとか、いろんな人のことを考えすぎて。それが勉強になりますけどね」
柴崎「以前、上原に〈この歌詞気に入っている?〉って聞いたことがあって。彼が自分なりに噛み砕けているなら僕は全肯定するよって。例えば“賞味期限切れ I love you”とかは僕の世代とは違う新しいセンスですよね。そこは信頼しています」
木村「普段話をしていると、しっかりと昔の音楽を土台として聴いているんだなっていう印象にあって。素晴らしいヴォーカリストだと思います」
――一方、サウンド面で今回意識されたところは?
柴崎「〈できることしかできないよね〉っていう割り切りはあります。無理して知らないことをやろうとしてもうまくいかないし、逆にWANDSっぽいという部分に関しては体に染み渡っている部分もあるし、あとはなるべくいい音にしたいというところですね」
――全体を聴いた印象としてはそうした往年のWANDSらしいサウンドが聴かれつつ、“真っ赤なLip”や“賞味期限切れ I love you”などは、今っぽい感触もあって。
上原「そうですね。“真っ赤なLip”もサウンド的には初期のWANDSサウンドに近いですけど、そのニュアンスを残しつつ今のサウンドに昇華している気がして。懐かしくもあり今っぽくもある、90年代と2020年が交わったような音楽というのは意識しました」
――本作はそうした新曲の一方で、過去のWANDSの名曲が第5期バージョンとして再録されています。セルフカヴァーをする際に気をつけたことは?
柴崎「〈あまり変えすぎない〉ところですかね。以前のバージョンの“Secret Night”は青山純さんのドラムが音色も演奏も素晴らしかったのでそれを超えるのは大変だし全体の完成度もあったので、頑張ってそこに近づけようと。もちろんオリジナルから変えた部分もありますけど。他のセルフカヴァー曲でも曲の印象が大きく変わらない範囲でアップデートする事を考えました。挑戦的なアレンジをする事よりも、まずは上原が歌うこの曲を聴いてもらおうって感じです」
上原「僕はイメージを壊さないように。新しいヴォーカルなので新しくあっていいですけど、ちゃんとそこに近づけるようにしたいなと。今はWANDSでの歌い方が馴染んできているので、僕も意識しすぎずに楽しんでできました」
――本作をリリースして、第5期WANDSとして目指すものはなんでしょうか?
柴崎「今は新しい曲を作っていくというのを頑張りつつ、できるだけ早くライブができるようになったらいいなって」
木村「本当にその通りですね。こんな世の中だから人対人というものを大事にしていきたいですし、世の動きをみながらなるべく早くそういう機会を増やしていきたいですよね」
上原「伝説と呼ばれるバンドが新しいヴォーカルでスタートすることは特殊だと思いますけど、だからこそほかのバンドでは味わえない面白さを感じています。昔からのファンだった人と、新しいWANDSで好きになった人が一緒になってライブで盛り上がれる機会を早く作りたいです。そこで、音源では伝えきれない上原大史というものを見せつけたいと思います」