挑戦的な楽曲そのものの刺激
アルバムの幕開けを飾るのは、軽快なアップビートが駆ける“Home Sweet Home”。昨年11月に大阪で開催された〈2024 MAMA AWARDS〉のステージでテヤンとテソンを伴って披露された、現BIGBANGの3人によるコラボ・チューンだ。もともとBIGBANGのために作られていたことはTEDDYやKUSHらYGの面々が関与した布陣からもわかる通り。それに続く“PO₩ER”は昨年10月に公開された独立後の初シングルで、トミー“TBヒッツ”ブラウン(アリアナ・グランデ、ウィークエンド他)によるヒプノティックなビートにアクの強いマイク捌きが映えるラップ・ナンバーとなっている。なお、2024年のグラミーで〈年間最優秀ソングライター〉を受賞したR・シティのセロン・トーマス(最近ではロゼ&ブルーノ・マーズの“APT.”もコライト)が共作しているのもポイントだ。
US勢との絡みでは、韓国にルーツを持つアンダーソン・パークを迎えたキャッチーなリード曲“TOO BAD”は最大の注目曲だろう。ここでネプチューンズ風味のビートを仕立てたボンゴ・バイザウェイはスヌープやミーガン・ザ・スタリオンらを手掛ける西海岸のトラックメイカーだ。一方、意外な手合わせでは往年のヒット請負人であるダイアン・ウォーレンが“DRAMA”を提供しており、日本語も含む4か国語で痛切な想いが歌われる叙情的なバラードとなる。
さらに後半には馴染みのボーイズ・ノイズと久しぶりに組んだモダンなトラックが並ぶ。アトモスフェリックな音像とゆったりした美メロが快い“IBELONGIIU”はかつてフリー・スクール名義で知られたジャン・バプティスト(ドージャ・キャット、スティーヴ・アオキ他)も共作者に名を連ねた佳曲。それに続く“TAKE ME”はナイル・ロジャースやモッキーが演奏に参加した刹那的なカクテル・ディスコで、エモーショナルな歌いっぷりもいい感じだ。そこからスティックス(元フライ・パンダ)らが共同制作したアコギ主導のダークな“보나마나 (BONAMANA)”を挿み、ラストに控えるのはボーイズ・ノイズとJマイク、ジャスティスのグザヴィエ・デ・ロスネが共同制作した“GYRO-DROP”。こちらはファレルっぽいビートとフックがキャッチーなラップ曲で、コーラス参加もしたランチマネー・ルイスとダイナミック・デュオのGAEKOが共作している。
帰還のインパクトと同時に楽曲そのものの刺激でも勝負した『Übermensch』は、現状に飽き足らないG-DRAGONの新たなチャレンジである。その向こう側にまた新しい未来のヴィジョンが浮かんでいるように感じられるのも、恐らく間違いではないだろう。
左から、G-DRAGONの2013年作『Coup d’Etat』、2017年作『KWON JI YONG』(共にYG)、G-DRAGONが客演したスクリレックスの2014年作『Recess』(Owsla/Big Beat)、バウアーの2016年作『Aa』(LuckyMe)
『Übermensch』に参加したアーティストの作品を一部紹介。
左から、アンダーソン・パークの2019年作『Ventura』(Aftermath)、ダイアン・ウォーレンの2021年作『The Cave Sessions Vol. 1』(BMG)、モッキーの2022年作『Goosebumps Per Minute』(Heavy Sheet)、GAEKOの2014年作『Redingray』(Amoeba Culture)