村越辰哉(新宿店)
〈まるで米国のシュガー・ベイブ〉とここまで極端に言ったらご注目いただけるだろうか? それほどシュガー・ベイブ探究には欠かせない達郎が愛聴した〈シュガー・ベイブの雛型〉的名盤! ファンのツボを直撃し続けてきたジェントル&キャッチーなシティポップ大名盤。
⑦“Nice Folks”(あの名曲“パレード”の着想はこの曲から)、②“One Way Or The Other”に代表される瑞々しいハーモニー、パーカッシブなアコースティックサウンドが生み出すしなやかな清涼感に文句なし。ラテン風味④“Eden Rock”、ジャジーな⑤“Country Time Rhymes”など音楽性の幅広さをあくまでさりげなく提示する佇まいがスマートかつカジュアルで多くの(特にミュージシャン達の!)ココロを掴んだのも納得。
ケニー・アルトマン(ベース)、エリック・ジェイコブセン(プロデュース)はのちに達郎ソロ1st『CIRCUS TOWN』(1976年)のLAサイドにも参加。
2025年4月6日のサンソン〈棚からひとつかみ〉でもオンエアされた。グループ名の元ネタとなった楽曲“Sugar Babe”を収録。
ジェシー・コリン・ヤング+2名のトリオ編成になってのライブ盤で、トリオゆえ音数が少ないものの、エレピのメロウなムードやギターのコード感やリズム隊のアンサンブルから醸し出される(グレイトフル・デッド的の酩酊感にも似た)浮遊感が絶品で、洗練された音楽性とバンドサウンドならではのラフなタッチの組み合わせはシュガー・ベイブに通じるものがあります。
塩谷邦夫(TOWER VINYL SHIBUYA)
ともにロードアイランド州プロビデンス生まれのソングライター/プロデューサーチーム、アンダース&ポンシア。地元グループ~ブリル・ビルディング~フィル・スペクター門下と経験を積んでいく中でザ・クリッターズなど周辺の仲間達を巻き込み、ザ・トレイド・ウィンズなどグループ名も使い分けた彼ら。
本作はカーマ・ストラ社長のアーティ・リップと組んだジ・イノセンス名義での唯一作。洒落たソフトボッサ“Your Show Is Over”、もはやネオアコを凌駕する瑞々しさ“A Lifetime Lovin’ You”、極上メランコリックな“I Don’t Wanna Be Around”など心奪われるナンバーのオンパレード。エンジニアのロッド・マクブライアン繋がりでソルト・ウォーター・タフィーの名盤『Finders Keepers』に収録された“Whence I Make Thee Mine”のオリジナルはココに。東海岸ソフトロックの最高クラスの傑作。
スプーンフルの2ndアルバム。前年のデビューアルバムのリリース時にはすでに本作のレコーディングが進められていただけあって前作同様ほのぼのグッドタイムミュージックとゴキゲンなロックンロールを心行く迄楽しむことが出来る。ジョン・セバスチャンのソングライティングは引き続き絶好調。大ヒット曲“Daydream”“You Didn’t Have To Be So Nice(うれしいあの娘)”を収録。数々の好カバーを生んだ“Didn’t Want To Have To Do It(つらい僕の心)”は山下達郎もフェイバリットに挙げる名曲だ。ザル・ヤノフスキーのボーカルが楽しい“Bald Headed Lena”も語り継ぎたい一曲。プロデュースは前作同様エリック・ジェイコブセン。シュガー・ベイブのジャケットとの関連性については分かりません……。