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竹内まりや、小坂忠、いきものがかり……ベテランから新世代までと交流した2000年代以降

2001年リリースの竹内まりや“毎日がスペシャル”でも、佐橋はギタリストとして参加している。「めざましテレビ」のテーマソングとして書き下ろされた同楽曲だが、編曲はもちろん山下達郎。そんな山下が指揮する制作プロダクションで声がかかった佐橋は、ストラトキャスターの軽やかな音色を巧みに操り、随所で楽曲にアクセントを入れている。

のちにこの曲を振り返った佐橋は、自らのギターアプローチをアル・ジャロウ“Mornin'”に似ていると述べている。ジェイ・グレイドンとデヴィッド・フォスターの手によって生まれた言わずと知れた80年代のヒットチューンに、無意識のうちに近づいたあたりがなんとも佐橋らしい。 

同じく2001年に佐橋はティン・パン・アレーが〈Tin Pan〉名義でリユニオンした際のツアーにギタリストとして帯同。このとき邂逅した小坂忠に佐橋は“夢を聞かせて”を提供している。余計な装飾が一切ない素朴なナンバーだが、それと呼応するように当時50代前半の小坂が紡いだ素直な歌詞が胸に響く。2人の関係性はその後も続き、佐橋は2009年のアルバム『Connected』でプロデューサーを務めた。

小坂忠 『Connected』 ソニー(2009)

この時期は大御所のほか新世代との交流も活発になり、またそうしたアーティストの大きなターニングポイントに佐橋は立ち会うこととなる。それを象徴するのが、スキマスイッチが「映画ドラえもん のび太の恐竜2006」の主題歌として書き上げた“ボクノート”、2012年の放送ロンドン五輪テーマソングとなったいきものがかりの“風が吹いている”の2曲だ。

いずれも2000年代、2010年代のJ-POPシーンを語る上で欠かせない曲に佐橋はギタリストとして参加。転調が多くギミックが豊富な“ボクノート”、五輪を意識したのかブリティッシュロックな香りが漂う“風が吹いている”とタイプが異なるバラードを、佐橋は適切な解釈と表現で支えている(ちなみに“風が吹いている”のシングルに収録されたギターインスト版では佐橋がボーカルのメロを弾いている)。

最近ではスターダスト☆レビュー、花澤香菜、ハルナなどをプロデュースし、さらに活動の幅を広げている。2015年にリリースされたコンピレーション『佐橋佳幸の仕事(1983-2015)〜Time Passes On〜』にはここまで紹介した楽曲以外にも、山下達郎“氷のマニキュア(2015 REMIX)”、大滝詠一“陽気に行こうぜ〜恋にしびれて(2015 村松2世登場!version)”といった本作で初CD化となった音源も収録されている。

佐橋佳幸 『佐橋佳幸の仕事(1983-2015)〜Time Passes On』 GT music(2015)

 

山下達郎バンドに在籍した29年

そして、あえて番外編として触れておきたいのが山下達郎とのワークスだ。1994年に佐橋のソロデビューアルバム『TRUST ME』のエグゼクティブプロデューサーも担当した山下だが、同年に開催したシュガー・ベイブ時代の楽曲をフィーチャーした〈Sings SUGAR BABE Live 1994〉のギタリストとして佐橋を起用。以降佐橋は2023年3月まで約29年もの間、達郎バンドのメインギターとして尽力し続けた。

ちなみに、先日リリースされたシュガー・ベイブの『SONGS』50周年記念盤のボーナスディスクには〈Sings SUGAR BABE Live 1994〉の音源が収められている。大滝詠一や坂本龍一が佐橋の存在を認識したことでも有名なこのライブでは、村松邦男の手グセやニュアンスを完コピするかのような佐橋の丁寧かつ情熱的なギタープレイが光る。個人的にも『SONGS』本編以上にこちらのライブ音源を聴き倒しているので、ぜひCDでの購入をお薦めしたい。

シュガー・ベイブ 『SONGS 50th Anniversary Edition』 ナイアガラ/ワーナー(2025)

2025年5月20日(火)には、リットーミュージックより書籍「佐橋佳幸の仕事1983-2025 EN」も刊行される。佐橋本人への取材はもちろん、佐野元春、ピーター・ゴールウェイとの対談も収録されるそうだ。

佐橋のキャリアを辿ること、それはすなわち日本のポップス史で起きた数々のエポックメイキングな瞬間を振り返ることと同義と言えるだろう。我々がこの先耳にするヒット曲のそばには、また佐橋の名前があるかもしれない。

能地祐子 『佐橋佳幸の仕事1983-2025 EN』 リットーミュージック(2025)

 


参考文献
・「なんであのイントロが思いついたのか」小田和正が『ラブ・ストーリーは突然に』のA面差し替えを拒んだ“納得の”理由 https://books.bunshun.jp/articles/-/8480
・「TRUE LOVE」のイントロは藤井フミヤの弾き間違いだった…ミュージシャン・佐橋佳幸が明かす“ミリオンヒットが生まれる現場” https://www.dailyshincho.jp/article/2024/08251041/
・【佐橋佳幸の40曲】竹内まりや「毎日がスペシャル」山下達郎の注文はジョン・ホールで! https://reminder.top/622064918/
・【佐橋佳幸の40曲】小坂忠「夢を聞かせて」Tin Pan 再結成を機に細野晴臣がプロデュース! https://reminder.top/559713720/