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〈青春〉のカウンターとして響いたsyrup16g、ART-SCHOOLらの音楽

この時期のUK.PROJECTは現・銀杏BOYZの峯田和伸がフロントマンを務めたGOING STEADYを輩出してもいて、彼らは〈青春パンク〉の元祖とも呼ばれ、その後より明るく前向きな〈青春〉を歌うバンドがシーンを賑わせ、ブームを形成していった。

その一方で、孤独や不安、焦燥感などを直接的な言葉で表現し、ときに〈死〉に言及することも厭わなかったsyrup16g、ART-SCHOOL、BURGER NUDSといったバンドたちは、当時一部から〈鬱ロック〉とも言われていた。この名称自体の是非は置いておくとして、こうした表現はバンプやACIDMANなどにも見られるものであり、前向きな応援歌を歌うのではなく、シリアスに自分の内面と向き合い、リアルを表現しようとした彼らの精神性は、「ぼっち・ざ・ろっく!」の主人公である後藤ひとりの精神性とも通じるもの。〈悲しい歌ほど好きだった 優しい気持ちになれるから〉と歌う結束バンドの“青春コンプレックス”は、形骸化したイメージの〈青春〉に対するカウンターとして響くという点でも、彼らの音楽と共振する部分があるように思う。

なお、UK.PROJECTが毎年夏に開催している〈UKFC on the Road〉は今年が15周年で、すでにART-SCHOOL、syrup16g、椿屋四重奏2025らの出演が発表されている。また、ART-SCHOOLは今年が結成25周年で、5月28日にリリースされた新作『1985』は〈2003年発売の『SWAN SONG』のような作品を今の感覚で制作したらどうなるか〉をコンセプトに制作。さらには今年トリビュートアルバムのリリースも決定していて、より注目が集まるのは間違いない。

ART-SCHOOL 『1985』 DAIZAWA/UKプロジェクト(2025)

個人的には、2000年代の活動期間こそ短かったものの、2014年の再始動以降は自分たちのペースで活動を続け、昨年にはkurayamisakaのメンバーも在籍するせだいのリリースパーティーに出演するなど、再評価の機運が高まるBURGER NUDSの〈UKFC〉出演も期待したい。