どうしようもない夜を乗り切るための応援歌
そして“ダンスに間に合う”について、もともと思い出野郎Aチームによるオリジナルバージョンが好きだったというキョンキョンがエンディングテーマとしてカバーすることを提案し、リアレンジして完成させたのがこのデュエット曲だ。“T字路”に続いて鈴木正人によるサウンドプロデュースのもと、ブラスやストリングスが加えられ、温かみと懐かしさに満ちたスウィートなソウルミュージックに仕立てられている。キョンキョンと中井貴一は今回もドラマさながらに息の合った歌声を聴かせているが、前作よりもその声の端々に千明と和平としての等身大の佇まいが感じられるのが印象的だ。
そんな二人が、ドラマの登場人物をはじめ、全ての大人たちへエールを送るように歌っている“ダンスに間に合う”。その歌詞が沁みてしょうがない。あの日の祥子のように、あの日の典子や千明のように、どうしようもなくやりきれない夜でも、〈ダンスには間に合う〉と、この歌は教えてくれる。それはそのまま音楽が鳴っているダンスフロアへ向かうことかもしれないし、大好きな曲や映画に一人没頭して心躍らせる時間のことかもしれない。はたまた、どこかで誰かと肩を揺らしながら笑い合うことかもしれない。さらに〈諦めなければ〉と続く歌詞からは〈人生はいつからでも遅くない〉というメッセージも読み取れるような気がするのだ。
そんな大人たちの応援歌とも言えるこの曲が特に印象的に用いられたのが、第8話。定年を控える千明の友人・啓子(森口博子)がキャリアの限界を悟り、それを涙しながら千明と祥子に打ち明けるシーン(名演でした)。啓子が声を詰まらせながら「友達でいてね」と伝えた直後、彼女たちがいたライブハウスで思い出野郎Aチームがまさに“ダンスに間に合う”を演奏し始めるのだ。慰めも励ましも意味を持たない夜、この曲にそっと救われる三人の姿に、思わずもらい泣きした視聴者が多かったと聞く(もちろん筆者も)。オリジナルを歌う思い出野郎Aチームが本編に登場するという粋な演出、そしてドラマのテーマ曲という役割を超え、物語を補完するかのようなこの曲の包容力に、本当に感動した。
寂しくない大人なんていない――これは第1期、そして第3期にも登場する千明のモノローグだが、個人的にこの言葉で思い出すのは岡田惠和が〈越えられない壁〉と語る、市川森一脚本のドラマ「淋しいのはお前だけじゃない」だ。西田敏行演じる主人公を筆頭に、借金と大衆演劇で繋がった大人たちが泥臭くあがく姿が描かれた、日本ドラマ史上屈指の名作だが、西田が歌った同名の哀愁あふれる主題歌(作詞作曲は小室等)は、どうしようもない日々を生きる人間たちのまさに最後の拠り所のような歌だった。“ダンスに間に合う”もまた、時に寂しさに負けそうになる、決して強くはない大人たちの最後の灯りとして、物語を温かく照らし出している。
ちなみに小泉今日子&中井貴一の“ダンスに間に合う”のミュージックビデオは、思い出野郎Aチームによるオリジナル版MVの〈続〉のような内容になっているところにまたグッとくる。
ふぞろいな大人たちが愛おしい!
さて、「続・続・最後から二番目の恋」はいよいよ最終回を待つばかりだ。小泉今日子と中井貴一をはじめ、坂口憲二、内田有紀、飯島直子、そして新たに加わった石田ひかりと三浦友和も物語に絶妙な味わいをもたらしているが、そんな彼らが演じるふぞろいな大人たちが、愛おしくてたまらない。
彼らの正解ではなくささやかな幸せを大切にしながら生きる姿は、地味でも、思い通りにいかなくても、そして何歳であっても、人生に希望は見つけられる、そんな気持ちを抱かせてくれるのだ。終わってしまうのは本当に寂しいけれど、とても身近に感じられてならない彼らの〈今〉を、最後までしっかり見届けたいと思う。
RELEASE INFORMATION
リリース日:2025年6月11日
■初回限定盤(CD+DVD)
品番:VIZL-2444
価格:2,750円(税込)
TRACKLIST
CD
1. ダンスに間に合う
2. T字路
DVD
1. ダンスに間に合う(Music Video)
2. T字路(Music Video)
■通常盤(CDのみ)
品番:VICL-37780
価格:1,540(税込)
TRACKLIST
CD
1. ダンスに間に合う
2. ダンスに間に合う(Sing with 小泉今日子)
3. ダンスに間に合う(Sing with 中井貴一)
4. ダンスに間に合う(instrumental)
TV INFORMATION
続・続・最後から二番目の恋
キャスト:小泉今日子/中井貴一/坂口憲二/内田有紀/飯島直子/久保田磨希/松尾 諭/佐津川愛美/白本彩奈/広山詞葉/上川周作/益若つばさ/美保 純/柴田理恵/浅野和之/渡辺真起子/森口博子/香坂みゆき/柳沢慎吾/三田佳子/石田ひかり/三浦友和 ほか
脚本:岡田惠和
音楽:平沢敦士
主題歌:浜崎あゆみ “mimosa”
エンディングテーマ:小泉今日子&中井貴一 “ダンスに間に合う”
プロデュース:若松央樹(フジテレビ)/浅野澄美/郷田悠(FCC)
演出:楢木野礼/高橋由妃/西岡和宏(フジテレビ)
制作協力:FCC
制作著作:フジテレビ
