2025年、あけましておめでとうございます。2024年5月からbounceでこの連載が始まり、タワレコに行けばいつでも自分のコラムが載っているフリーマガジンが置いてある、という夢のような出来事が現実で起こり、今に至ります。一度でもこのコラムに目を通していただいたみなさま、ありがとうございます。今年も日々過ごしていくなかで出会ったお気に入りの音楽を紹介していきますので、どうぞよろしくお願いします。

 さて、冬も深まってきたこの時期、いつも悩まされていることは〈去年買ったアウターを着たくなくなってしまう現象〉である。長く着られるような、素材がしっかりした防寒性の高いものは大体なかなか手が出せない価格。結局は毎年妥協してしまい、季節が巡ってまたアウターが必要になる頃には、なぜその一着を気に入っていたのかなど忘れてしまうのだ。

 ひと昔前に流行った、ペディンという全身を覆うほど長い丈のダウンや、見た目は可愛いけれど、肩が凝るくらい重いジャケット。妥協したとはいえ、それなりに比較・検討を重ねて買っているはずなのに、ワンシーズン着ていただけで、フリマアプリに出品するか、母親に譲ることになってしまうのはよくないとわかっている。毎年、冬物をクローゼットの奥から久々に取り出したアウターを見てふたたび心が躍ればいちばんいい。次に長い目で見ても納得できる出会いを果たしたら買ってしまおうと決めていた。

 そしてついに、去年のクリスマスイブにたまたま訪れた服屋で、見た目、機能性、すべてが丁度いいジャケットを見つけ、自分へのプレゼントにした。来年、再来年になって〈好き〉がアップデートされても、ずっと同じアウターにときめくことができる人になるぞ、という想いを込めて。その時に服屋で流れていた曲は、小泉今日子の“drivin’ nite;goin’ on (Back Seat Mix)”。浮き足立った人々が溢れている店内、真っ直ぐ疾走感のあるドラムンベースのビートに乗った落ち着いた歌声がやけに耳に残った。

 


【写真と文】hana:8人組のHIP HOPユニット、lyrical schoolでMC/ヴォーカルを担当。lyrical schoolでは現体制での初作『DAY 2』(ビクター)に続き、“dance”が配信中。ライヴ盤とminanのソロ新曲もmiim限定でリリースされています! 2025年の予定などの最新情報は〈https://lyricalschool.com/〉にて!