このスケール感は只者じゃない! 新進気鋭の4人が紡ぐ、抒情的な旋律とエモーショナルな感覚に満ちたピアノ・ロックに心を撃たれろ!
メロコア~エモをルーツに持つ楽曲、ピアノを中心とする洗練されたアレンジ、そしてUKロックやクラシックからの影響を感じさせる美しいメロディー。独創性とポピュラリティーを絶妙のバランスで共存させたその音楽性によって、徐々に注目を集めはじめている4人組ロック・バンドのSHE'Sが、サード・ミニ・アルバム『She'll be fine』をリリースする。
自主企画イヴェントの題名をタイトルに冠した本作には、〈ピアノ・エモ〉というカテゴリーに収まらない、彼らにとって新機軸とも言える楽曲が収録されている。それを象徴しているのがリード・トラックの“Un-science”。「でっかい野外の会場、ホールで映える曲を作りたい」(井上竜馬、ヴォーカル/キーボード:以下同)という動機から生まれたこの曲は、SHE'Sというバンドのスケール、その大きさを証明するドラマティックなナンバーに仕上がっている。
「自分が作るメロディーには大きく拓けていくような感覚があると思っていて。そこに向けてサウンドを作っていったのが“Un-science”なんです。もともと北欧系のバンドやコールドプレイも好きなので、そういうテイストをSHE'Sらしく出せたらなと」。
映画「インターステラー」での〈愛は時空を超える〉という台詞にインスパイアされたという歌詞も、この楽曲のスケール感と強くリンクしている。これまでの作品では内省的なテーマを扱うことが多かったソングライターの井上だが、バンドの活動範囲が広がるにつれて歌詞の世界も確実に広がっているようだ。
「人間の愛情、突発的に生まれる感情には、科学や心理学では解明できないパワーがあるんじゃないかって。僕はそのパワーを信じたいし、そこに重きを置きたいんです。楽曲を作るときも、理論に縛られるのではなくて、その場で思いついた突拍子もないアイデアを取り入れるのが好きなんですよね」。
抒情的な旋律のなかで〈さよならの向こうに何があったとしても もう行かなきゃ〉という哀切的なフレーズが広がるミディアム・バラード“2人”にも、彼らの新しいトライがしっかりと反映されている。そのテーマは――。
「リズムを緩くしたり、ギターの音を軽くしたり、ベースを弾ませたり。J-Popのいろんな曲を聴いて、アレンジの参考にしています。もともと秦基博さんやハナレグミさんが好きだったんですけど、J-Popは勉強させられるところばかりですね。〈ロック・バンドでありたい〉という気持ちも強いんですが、こういうバラードが作れるところも自分たちの強みだと思ってます」。
ライヴの定番曲としてファンの間で人気の高い“信じた光”“ワンシーン”を収録するなど、これまでのバンドの軌跡も体感できる『She'll be fine』。『WHO IS SHE?』(2014年)、そして『WHERE IS SHE?』(2015年)と連なるミニ・アルバム3部作の完結編として位置付けられた本作によって、SHE'Sの活動は新しいフェイズに向かっていくことになりそうだ。
「(『WHO IS SHE?』の1曲目)“Voice”で始まって、〈君の声が照らしてくれたから〉という歌詞がある(今作のラスト曲)“Curtain Call”で終わって。意識はしてなかったんですけど、きれいに繋がったなと思います。アルバムのタイトルに〈SHE〉を使うのも今回で最後にしようと思っていて。これからもやりたいことをやりながら、変わり続けていきたいですね」