野宮真貴、渡辺満里奈がナイアガラを歌い継ぐ
ここで一旦バンドは退場し、ナイアガラ50周年のCMに続いて、50周年のお祝いメッセージ映像が上映される。坂崎幸之助(THE ALFEE)は自身のラジオ番組に大滝が毎年のように出演した思い出を、笑福亭鶴瓶は1977年の〈ザ・ファースト・ナイアガラ・ツアー〉の大阪毎日ホール公演に乱入したときの話を、デビュー前から大滝と親交のあったラッツ&スターの鈴木雅之、佐藤善雄、桑野信義は新宿ルイードのクリスマスライブに大滝が登場した話や“夢で逢えたら”のカバーに至るエピソードを披露。生前の大滝がいかに幅広い交流を持っていたかを偲ばせたのと同時に、彼らのユーモラスな語り口に客席は和やかなムードに包まれた。
次に登場したのは、この日サプライズ出演となった〈渋谷系の女王〉こと野宮真貴とNight Tempo。
野宮はライブ会場に隣接する代々木公園で開催される〈J-WAVE × 大滝詠一 ナイアガラ盆踊り〉のゲストとして登壇するので今夜は浴衣姿。1986年、韓国・ソウル生まれのプロデューサー/DJであるNight Tempoとともに“真夏の昼の夢”(『NIAGARA CALENDAR』収録)を歌った。野宮もアルバム『野宮真貴、ヴァカンス渋谷系を歌う』で小西康陽のアレンジでカバーしているこの曲は、盛夏にぴったりの選曲だった。


ナイアガラ・レコード初のリミックス企画『Eiichi Ohtaki’s NIAGARA 50th Odyssey Remix EP』にCorneliusやスチャダラパーとともに参加しているNight Tempoは、“探偵物語”(薬師丸ひろ子)、“哀愁のコニーアイランド”(山口百恵)、“怪盗ルビイ”(小泉今日子)、“風立ちぬ”(松田聖子)という大瀧詠一(作家やプロデュース業など裏方の時に使われる名称)がアイドルに提供したナンバーをDJプレイ。

80年代の日本のポップスを再構築して現代に響かせるNight Tempoは、大滝詠一の存在を知るにつけ、「こんな贅沢なことになってしまって小さくなっています」と流暢な日本語でMC。リミックス盤に収録された“夢で逢えたら Night Tempo Dreamy Mix”では井上のシンセ、ピアノとセッション。夢見心地に誘った。

1995年に大瀧詠一によるプロデュースと楽曲提供の機会に恵まれたのが、〈ナイアガラの末娘〉こと渡辺満里奈。アニメ『「ちびまる子ちゃん」のオープニングテーマ“うれしい予感”(作詞:さくらももこ)を笑顔で伸びやかに歌う姿は30年後の今なおフレッシュで可憐。
自身の音楽のルーツに『NIAGARA TRIANGLE Vol.2』を挙げて、「大滝さんのキラキラした世界が大好きになりました」とMC。その大瀧プロデュースのアルバム『Ring-a-Bell』から作詞・作曲、佐野元春による“ダンスが終わる前に”も大滝自身のカウントの声とともに披露された。多羅尾伴内名義のアレンジと、井上の手によるストリングスが、女性ボーカルワークのポテンシャルを引き出すことを今さらながら思い知る隠れた名曲である。

ゲストのシンガーソングライター、川崎鷹也と再び鈴木茂をステージに呼び込み、渡辺満里奈とともに賑やかに展開されたのが“FUSSA STRUT”。〈福生行きの切符買って〉〈お守りに&ニーリモマオ〉のコール&レスポンスに加え、50周年ライブでは福生から渋谷までの駅名を観客にコールさせるところが愉快で、ナイアガラっぽい。1977年に〈ザ・ファースト・ナイアガラ・ツアー〉がここ渋谷公会堂(現LINE CUBE SHIBUYA)で行われた際、大滝が福生発の切符をステージからばらまいた演出が、今回のステージで再現されたのも心憎い。


メドレーの“恋はメレンゲ”は、70年代のナイアガラの歌姫、シリア・ポールのバージョンで渡辺と川崎が歌い、陽気に盛り上げてゆく。1975年にナイアガラ・レコードからシュガー・ベイブに続いて発表され、ノベルティタイプの曲で構成された『NIAGARA MOON』からの2曲は今もやはり断トツで愉しいのだ。