2011年の“Champagne Coast”がTikTokでバズっている最中に届いた7年ぶりの新作。ベン・ワットやロードら大勢のゲストを招き、曲調もファンクやドラムンベース、往年のサラ作品に通じるネオアコなど多彩。ともすれば散漫になりかねないところを、随所で顔を出す静謐なチェロの音色によって、アルバム自体は繋ぎ目が曖昧なまま淡々と進行していきます。リプレイスメンツやエリオット・スミスの引用も、幼少期を回想しながら母の死を受け入れようとするコンセプトと合致。思い出に浸ることで何とか現実を耐えている主役の歌は、きっと似た痛みを抱えるリスナーの慰めにもなるはずです。傑作。