創立31周年を迎えた東京・下北沢のレーベルKOGA RECORDS。同レーベルのコンピレーションアルバム『KOGA RECORDS 2025 Winter Collection』が、2025年12月3日(水)にリリースされる。またタワーレコードの限定店舗やオンラインでは、旧譜キャンペーンも開催される。今回はこれにあわせて、KOGAの代表を務める古閑裕とミュージシャンの小野武正(KEYTALK/Alaska Jam)、ライブハウス・新代田FEVERのオーナー西村仁志による鼎談をお届け。KOGAの歩み、下北沢という街や音楽文化への愛を語ってもらった。 *Mikiki編集部
SHELTERが朝4時まで開いていた頃
古閑裕「西村くんは下北沢SHELTERの店員でしたね。何年前?」
西村仁志「30年以上前ですね。俺、今年50歳になったんですよ。で、19の時にSHELTERに拾ってもらって。俗に言う遅番って形で夕方に入って、バンドの人たちのリハをやって、お客さんを入れてライブをやって。
SHELTERはライブをやる場所だけど、どっちかって言うと、その当時は酒を飲んだりとかするライブの後の時間の方が重要で。って言ったらバンドに失礼かな。そんな時代だった時に、古閑さんは1日2回ぐらいSHELTERに来るレベルで」
古閑「1日2回かよ(笑)。まあそうだね」
西村「下北沢のライブハウスって日によって夜いる人たちが違ったりしたけど、古閑さんはどこかのライブハウスに行って、その後飲み屋に行ってまた戻ってきたりしてたから、本当に1日2回とかありましたよね」
古閑「あった。で、いろんなところに行って、最終的にはSHELTERで飲むっていうのが多かったね。当時はまだSHELTERが朝の4時ぐらいまでやってて」
西村「自分が働いてた時代は4時まで開けて片付けて、5時の始発で帰るというのが仕事の軸としてあったから、お客さんがゼロでも4時までやってましたね。1時ぐらいで誰もいなくなって、3時半ぐらいまで誰も来なくて、あとは片付けて帰るだけだって時に限って3時50分に古閑さんが来る(笑)。あれ、もしかして帰れない?みたいになって」
古閑「当時、そうやって延長させるっていうのが毎度の話だったり」
西村「知り合いだとそのまま飲んでもらったりとかするのが普通だったけど。まあでも、〈帰って〉って言っても帰らないバンドマンがめっちゃ多かったからなぁ」
古閑「今は速攻で帰るよね、みんな」
小野武正「そうっすよね。まだネットがない時代ですよね?」
西村「そうだね。その頃はまだ全然だね」
小野「ネットがないっていうのが大きいんじゃないですかね? だから、ずっとみんなで遊んでたっていうか」
古閑「あぁそうだね。僕の下北沢歴っていうのは、SHELTERがあっての下北沢歴。他にCLUB Queだったり。ネットがなくても、そこでいろんな人と知り合いになったし」
小野「この3人は、ちょうど年が10個ずつぐらい違うんですね。古閑さんが60歳、西村さんが50、僕が37なんで」
古閑「今回の対談は、KOGA関連でいろんな時代の下北を知る人たちっていう意味での人選でね。公私共に俺との付き合いもすごい長いし、いろんなことを知ってるから武正を呼んだし、西村も昔から俺のいろんなことを知ってるからね。あと俺、西村には奥さんも紹介したからね」
西村「そうね、本当にそうそう」
古閑「っていう流れで、この3人でしゃべったら面白いんじゃないかなっていう」
小野「古閑さんには今度、結婚式の主賓の挨拶をしてもらいますからね」
古閑「そう、俺が挨拶というか、ChatGPTに考えてもらってる(笑)。と言っても話の骨子を作ってもらって、そこに私的な武正との思い出や彼の人となりを入れるっていう感じですがね」
小野「西村さんは結婚されてどのくらいなんですか?」
西村「結婚して11年とちょっと経って。きっかけは古閑さんが飲みに連れてきた女の子と付き合う形だったんだけど。その時もそうなんだけど、古閑さんはSHELTERに飲みに来る時にバンドマンじゃない人を毎度大勢連れてくるんだよね」
古閑「えっとね、昔はナンパして、その女子をSHELTERに連れていくっていうのが得意だったのよ」
西村「〈古閑さん、また違う女性を連れてきたけど、何だろうね?〉って。まずみんなで作戦会議して、ツッコんだ方がいいのか、ほっといた方がいいのかを話し合ってた」
古閑「当時、下北中の噂で〈古閑さんはいつも違う女を連れてくる〉と言われてて。今はもう全然ですけど。僕は最近は1人で飲みに行くのが好きなんですけど、だいたい当時は誰かしら女子を連れて、SHELTERなりCLUB Queなりに飲みに行くことが多かったね。あと251にもよく飲みに行ってた」
小野「今もやってるんですか、251のバーって?」
西村「今もやってるのかな? どうなんだろう? 普通に打ち上げが終わったら終了みたいな感じなんじゃないかな? ちょっと最近行けてないからわからないけど」
小野「SHELTERも最近は閉めるのが早いっすもんね」
西村「やってない時もあるという話は聞く。最近はコロナもあったから、その流れもあったけど」
