
対位法を駆使し、ジャンルを超越した作曲法
――ジェームズさんが作曲において特に重視しているのはカウンターポイント、日本語で言う対位法だそうですね。
ジェームズ「カウンターポイントは僕にとってとても大事です。素晴らしいです。わかってくれるとは……」
――資料に書いてありました。
マーティ & ermhoi「(笑)」
ジェームズ「(対位法が発展した)ルネサンスの音楽も芸術も勉強しました。現代的なクラシックの音楽もよく勉強しています。だから、ポップとかロックとかジャンルが変わってもそういうハーモニーが好き。どうやってハーモニーを新しい形に作れるか、よく考えています」
――そんなジェームズさんの曲ってすごく独特だと思うのですが、マーティさんとermhoiさんはどう思っていますか?
マーティ「めっちゃ好き!」
ermhoi「シンプル(笑)」
マーティ「13年前からずっと一緒だからね。ジェームズの曲の作り方は毎回違うけど、毎回ジェ-ムズの味が入ってるから安心。怖いけど」
――怖い(笑)? 難しいからでしょうか?
マーティ「難しい。変だね。いい意味で怖い」
ジェームズ「どんなプロジェクトでもマーティの力が必要だから。ザ・ラガフォーンズのシンプルな曲も現代的な曲も、マーティしか弾けないって思って譜面に書く。そういう譜面を書くのが好きです。けど、マーティがいないときは演奏できなくなるから厳しい」
ermhoi「不可欠だよね」
ジェームズ「ミュージシャンのために音楽を書くのがすごく好きです。(デューク・)エリントンも同じことをやっていたけど、そういう考え方は大事です」
ermhoi「ジェームズの曲はめちゃめちゃ器楽的な部分とものすごくロックだったりポップだったりする部分がシームレスになっているから、一瞬たりとも慣れないというか、常にどんどん変わっていくんですね。たとえば、それがJ-POPだったら忙しい音楽になりそうだけど、そういうことではなくて」
――おおらかさがありますよね。
ermhoi「そうですね。そこがすごく不思議なバランスで面白いです」

頑張るのが大事
――実際に歌っていてどうですか? 難しいですか?
ermhoi「メロディは私が作った部分もあるので、意外と歌いやすいです。
楽器の演奏はすごく難しいだろうなと思います。でも、バンドメンバーはみんな百戦錬磨の人たちじゃないですか。リハーサルに来るとみんな目を爛々と輝かせながら練習していて、演奏するのが楽しいみたいです。刺激があるから、バンドはいつもいきいきしています」
ジェームズ「日本語も音楽も、頑張るのが大事だと思います」
マーティ「人生もね」
ジェームズ「簡単だったら、やる意味がないだろうなと思います」
――ermhoiさんがおっしゃったように、メロディは歌いやすくて童謡っぽい部分もありますよね。“The World Wasn’t Meant For Me”は特にシンプルな曲で、アメリカの古いフォークソングのよう。アルバムのなかで際立っています。
マーティ「あれはベン(・ハリソン)が書いた曲なんです」
ジェームズ「ベンは昔からの友だちで、同じ高校に行っていました。ベンの曲を僕がアレンジしてみました。ほかの曲でベンの声はコーラスだけなんですが、一曲ちゃんと歌わせるのはいいかなと思って。アルバムに入れたかった曲で、バラードが並ぶのは自然だと思いました。すごく素敵な曲です。彼はこの曲でトランペットと歌詞を担当していますが、それだけでなくバンジョーなどなんでも弾ける音楽のオタクです」